過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
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632: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2015/12/08(火) 23:54:36.15 ID:/xl71SIm0
◇◇◇◆◆◆














「カムイ、そこに座っていてくれ。今、お茶を淹れよう」
「はい。えっと、ここでいいですか?」
「ああ、そこでいい。待っていてくれ」

 すでに準備されている湯呑を二つ手に取って、そこにお茶を淹れ、しずかにカムイの前に差し出し、先に私が一口飲むと「そんなことしなくても」とカムイは零す。
 私なりにお前に信用されたいんだと零して、ごめんとカムイは静かに湯呑を傾けた。喉の胎動する音が静かな部屋の中に響く、まだ昼間だというのにここの周りはとても静かだった。それを不審に思ったようにカムイは零す。

「今日はあまり人の声は聞こえないんですね」
「ああ、カムイが安心できるように取り計らった。お前のことをよく思っていない者たちがいることは認めないといけないことだからな」
「……そんなことをしなくてもいいですよ。僕は暗夜の人間です。不審に思うのは、当然の事ですから」

 その言葉は私の心の罅を強くする。

「ヒノカさん?」

 暗夜の人間、他人行儀な呼び方が私の心に疼く歪んだ人間性を肥大化させていく。
 報われないならどうするべきか、ということを考えて、自分を納得させるために言葉遊びをした。

「カムイ、やはり私のことを姉と呼んではくれないのか?」

 最後の最後で口にする。私の……最初の努力の終着点。カムイにそれを告げたとき、確かに心臓が大きく鼓動した。答えを待っている間も、私の心臓は強く高鳴りを続ける。
 続けて、続けて、心の内が切なく締め付けられるような思いだ。こうして告げて、待つというのはいくら鍛錬を重ねてもままならない行為なのだと、ここに至って知った。だけど、次はもっと楽になるだろう。
 私の言葉にカムイは、申し訳なさそうに眉を動かした。
 動かして、でも確かな意思を持って告げる。


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