過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga]
2015/12/24(木) 21:08:10.73 ID:l3VnDCHF0
◇◇◇◆◆◆
ぼんやりとした視界が緩やかに回復し始めた頃には、見慣れた天井が広がる。
寝る前に掛けたはずの布団は定位置に戻っていて、熱さを含んだ頬にひんやりとしたものが触れていた。誰かが直してくれたのだろうかと周囲を見回すと、相手はそれに気づいたようだった。
「……だ、誰ですか……」
思った以上に水を取っていなかった喉から漏れる声に、頬に触れていた手が止まる。
徐々に覚醒し始めたリリスの視界には二つに結んだ髪と、灰色に白のストライプのリボンに、どこか無邪気さの混じった見慣れた顔が見えるようになる。ピエリがそこにいた。
「リリス、すごい声してるの。お水飲まないと、干からびて死んじゃうのよ」
手渡されたコップ一杯の水、眠り続けていたことで体中に感じる汗の感触に軽い嫌悪を抱きつつ、それを飲み干すと。段々意識がまともになってくる。
「はぁ、はぁ。あれ、なんで、ピエリさんがここにいるんですか?」
「ひ、ひどいの。ピエリ、リリスが風邪引いたって聞いたからお見舞いに来たのよ」
ピエリの手には小さなバスケットが握られていて、顔を覗かせるのは果物や瓶などであり、お見舞いの品一式と言って問題なかった。
「あ、ありがとう。えっと……」
「今渡したら、リリス落っことしちゃいそうなの。だから、机に置いておくの」
「うん、ありがとう。それと、ごめんね」
「ん、なんでリリスが謝るの? ピエリ何も悪いことされてないの」
「だって、今日は……」
繋げようとしたところで、リリスは思い出したように机に目を向ける。
そこにはラッピングを終えた包みが今も静かに置いてあって、それをピエリが静かに眺めている。バスケットが静かに置かれると、ピエリはその包みを静かに指差してリリスに問いかける。
この包みはなんなのかという少し意地悪な質問だ。ピエリ自身それが何か分かっているからか、悪戯めいた顔でリリスを眺めてくる。
「ううっ、わかってるのに聞かないでください」
「何のことかわからないの。だからピエリに教えてほしいのよ」
綺麗にラッピングされていて、渡す相手を意識してリボンもお気に入りの色にしたのだから。でも、それを言ったら、今日風邪を引いた理由をピエリの所為にするみたいで、リリスはとても言える気がしなかった。つまり、どうすればいいのかわからなかった。
短い沈黙があった。ピエリもリリスも何も言えないままだった。
苦し紛れにリリスが視線を窓に向けると、すでに赤い光が差し込んでいて、ずっと眠り続けていたんだなと、今考えるべきことではないことを考えてしまう。
「リリス、ピエリに遠慮しないでいいの」
「私、遠慮なんて……」
「大丈夫なの。だからこの包みの事、ピエリに教えてほしいの」
だから、そうやって差し出された船は、リリスにとってありがたいものだった。
だけど、未だに思うこともあってか、その声は小さくか細いものだ。
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