過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
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970: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2016/02/25(木) 22:27:21.98 ID:/mUgx/Fs0
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「はわわ、強そうなのがいっぱい来ましたよぉ」

 フェリシアの言葉にカムイの視線が上がる。ギュンターまで残り二十メートルほどの位置、動き始めたジェネラルの軍勢が行く手を遮るようにカムイ達を待ち受けている。ぱっと見たところでも、その盾と鎧には多くの術文字が刻まれており、魔法に対する抑止力、魔法カウンターを手にしていることがわかる。リリスは苦々しく笑った。

「私、攻撃面で役に立てそうにありません」
「逆に気張って倒れたりしたらお人好しがうるさいからな、補助に専念してろ」
「ここは私達に任せてほしいですぅ」

 フェリシアとジョーカーの言葉を言われる前からそのつもりであったが、改めて言われるとなんと物悲しいことか。

「とりあえず、そういうことで行きましょう。ジョーカーさん、対重装甲装備は大丈夫ですか?」
「心得ておりますのでご安心ください」

 そう口にしてジョーカーの手に違う武器が握られる。針手裏剣と呼ばれるそれは鎧の隙間を狙うことに特化した武器であり、鎧の中にある無防備な本体に有効な武器であった。
 迫りくるジェネラルの隊列、しかしジョーカーの視線は彼らを映してはいない。その壁の先、わずかながらに見える影ばかりを睨んでいた。
視線の先、ジェネラルに隠れてはいるがわずかながらに見える影、その存在があったのだ。

(ジジイ、主への忠誠がどうとかビシビシ言いやがったくせに、なんでてめえがそっち側にいるんだ?)

 ギュンターの離反は、思いのほかジョーカーの心に影響を与えていた。ジョーカーにとってギュンターというのは技を授けてくれた恩師であり、同時に目標でもあった。
 手を伸ばしてもそう簡単に届かない頂にいる。そのあり方はジョーカーにとってはいずれ越えてみせるものであった。にもかかわらず、ギュンターはその頂から姿を消して、汚泥にその身を窶している。

(カムイ様を裏切るよりも大事なことなんてあるわけねえ。そう俺に教えたのはジジイ、てめえだろうが……)

 武器を持つ手に自然と力がこもる、だが、頭の中は思った以上に静けさを守っていた。ギュンターの教えは何時でも冷静に、主君のために忠実たれというものである。先ほどギュンターに攻撃を加えた時に血の気をすべて使い果たしたのか、今はカムイの命令を静かに待てるほどになっていた。

「カムイ様、ご命令を」
「はい。私たちは敵の注意を誘いますので、隙を見て倒してください。おねがいしましたよ」

 その言葉と共にカムイが駆けだし、次いでフェリシアとフローラも後を追う。近づく三人の陰にジェネラルの鎧が静かに揺れ、大槍が勢いを持って突きだされる。それを受け流し、カムイが懐に向けて剣による一撃を浴びせるが、丸みを帯びた鎧はそのダメージを半減する。いくら夜刀神といえど剣は剣、その本質のままに大した被害をジェネラルは受けぬままに、その大盾が頭上へと掲げられる。
 少しの間を置いて振り下ろされたそれを寸でのところで彼女がかわせば、後続からフローラとフェリシアの暗器が投げ込まれる。大盾を振り下ろした影響もあり、動きが鈍くなったところでジェネラルの顔が静かに上がる。視界を確保するためのわずかながらの覗き穴、そこからみえる三人の姿。再び、攻撃を加えようと足に力を加えたところである。突如視界が黒く染まり、少しの時間を置いて彼は倒れ伏す。ジョーカーの放った攻撃は、そのわずかな覗き穴を的確に捉えていた。


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