過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
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972: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2016/02/25(木) 22:43:10.03 ID:/mUgx/Fs0
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 だからこそ、その運命という歯車を入れ替えてくれたギュンターを倒すということが、今になって圧し掛かっていた。これが本当に正しいことなのか、ギュンターを倒さずに元凶だけを倒す方法を考えればいいんじゃないか、そういったことばかりが頭の中に浮かび始めていた。
 実際そんな時間はない、表の世界に対して透魔王は攻撃を開始している。どこからでも現れる兵、それに襲われ続けている白夜と暗夜、それを考えればもう、選択肢などありはしないのだ。
 だからこそ、透魔王はギュンターをカムイ達の前に差し向けてきたのだろう。ギュンターを生かすためにあれこれと考えてもいい、戦い苦悩してもいい、結果的にカムイ達が苦しみ、地団駄を踏ませることができればそれでいい。その間に表の世界を滅ぼせるのなら、それで十分に構わないのだ。
 本当に狡猾だ。人の嫌だと思うことを狙って行い、それによって自分に現実的な利益さえ手にする周到さ、だからこそ、その手際の良さは嫌悪称賛したい。

「本当に嫌になります」
「カムイ様、いきなりどうされましたか?」

 ジョーカーの意識が向くと、ほかの皆も同じようにカムイの言葉に耳を傾けはじめる。攻撃は止まない、止めればギュンターとの距離がこれ以上縮むこともないはずなのに。皆の手は戦いを止めることはなかった。
 だから、カムイも同じように攻撃を続けながら言葉を紡ぐ。

「私もできることなら、ギュンターさんと戦いたくはありません。ギュンターさんを倒すことで私達に得なんて一つもないんですから」

 カムイ達が選んだ道はギュンターを倒して先を進む道、どんな苦難があろうともそこを進みゆくことを決めた以上、その選択の責任は選んだ当事者すべてが忘れずに覚えていかなくてはいけないことだ。そして、その始めの出来事がこうして五人に与えられている。

「私はこの先に得るべき結果があると信じています。ギュンターさんとこうして戦うことになった今でも、その目指す場所は変わっていません。たとえ、そこにギュンターさんがいなかったとしても……」

 目指す場所は変わっていない。争いの終わった平和な世、世界を覆う悪意という闇を光がかき消した光景。ギュンターと約束したその世界、それを目指すことをカムイはあきらめない。だからこそ、ここにいる皆に問わなくてはいけなかった。

「そんな、そんな世界を目指す私と一緒に……歩んでくれますか?」

 彼女の言葉は静かに四人に告げられる。誰もが作業の手をやめることはなく、ただ無言の肯定を返す。その無言は肯定として受け取られ、最後のジェネラルが倒れ伏した。


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