過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga]
2016/02/25(木) 22:59:44.13 ID:/mUgx/Fs0
◇◆◇◆◇
「リリスさん!」
意識はまだはっきりしていた。だから治療すれば死ぬことはないということもぼんやりとだけ理解できる。でも、今のリリスにはそれをするほどの余力がなかった。
遠くに見えるカムイと止めを刺しに向かってくるギュンターであるが、先にたどり着くのはギュンターだということは彼女にも理解できた。
(ここで終わり、ということでしょうか……。いや、そうですよね……)
諦めたように観念したように、リリスは指をゆっくりと動かす。血は出ていないけど、内出血と骨の破損で体中がぼろぼろになっていることはわかった。動くことで傷が広がることは間違いなかったし、動いたところで逃げ切れるわけでもないと理解していた。
(サイラスさん、ゾフィーさん……)
自分には得られないものだと思っていたからこそ、サイラスから受け取った指輪はとてもうれしいものだった。
最初はサイラスの馬の世話をしたことからだった。それからカムイに関しての話、そして自分が人間でなく竜であることの方が本質であることを話して、それでもサイラスはリリスを親友として迎えてくれた。
だから、そこから膨れ上がった思いが恋情になって愛情になって行くのに時間は掛らなかった。
愛し合って、ゾフィーという血の繋がりはなくても、我が子のように接してあげられる子と出会えた。そう考えれば、リリスの人生は素晴らしいものだといえた。
(最後の最後でドジしちゃったのかな、私……。ドジはフェリシアさんの特権なのに……、あっ、今のフェリシアさんに聞かれた怒られちゃいそうですね)
だからこそ、最後はカムイのために命を掛けられたことが良かった。ぶれることなく、自分を貫きとおせたことが何よりも誇りの思えた。
同時に、そんな不器用な自分を愛してくれたサイラスに申し訳がなかったのも事実だった。
「えへへ、ごめんなさい。サイラスさん、ゾフィーさん」
静かに目を閉じる。もう最後の時を待つのに時間はいらないというように。迫りくる馬の駆け足と床の振動は、さながら処刑の秒読みにも感じられた。だからそれを受け入れるようにリリスは目を閉じ――
振り下ろされる何かの音を聞いた。
そして、すぐに火花が散るような甲高い音を聞く。
それは何かが何かを受け止めた音で、静かに目が開かれると、頭上を何かしらの影が通って行ったのが見て取れた。
「俺の妻に手を出さないでもらえるかな」
そして次に耳に入ってきた言葉に自然と顔が動く。大槍を正面から剣で受け止める後姿、それが何者なのかを理解してリリスの目からは涙がこぼれ始める。謝ったばっかりだというのに、その人がいることがとてもうれしかったから。
「サイ、ラスさん……」
「リリス、間に合ってよかった……」
「えへへ、私、カムイ様、守れたみたいです」
「ああ、待っててくれ。すぐに治療できるようにする。でやああああっ」
彼の握る剣に力が生まれて、受け止めていた大槍を押し返すとリリスの頭上を通り過ぎた影の正体が空より飛来し、ギュンターの眼前へとその手に持った斧を振り下ろす。ギュンターはそれに合わせて距離を取って、互いに仕切り直しと言わんばかりに睨み合う形と相成った。
城門の処理を終え、いち早く駆けつけたサイラスとカミラであった。
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