過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga]
2016/02/25(木) 23:40:07.77 ID:/mUgx/Fs0
◇◆◇◆◇
ここで戦う透魔兵たちのほとんどは意思を持たない。ただ操られている死体であるから、願望を口にしたりはしない、死んでいるからだ。
そして何よりも、カムイをそれに巻き込んでいることの意味を理解できなかった。するなら一人ですればいい、巻き込む必要などない。カムイに出会う前に、もう一度ガロンを殺すために動けばよかったのにそれをしなかったのは……知っていたからだ。妻子がそんなことを望んでいないということを。
村の者たちはわからない、大切なものに違いはない。だから、確認のしようなどない。だが、妻子だけは別だった。それほどまでに彼らをギュンターは愛していたのだから、疑う余地もないことだったのだ。
残った力を振り絞って行われる攻撃をカムイはすべていなしていく、力の差は歴然で距離はどんどん詰まって行く。あと数歩でギュンターの懐にカムイが入り込む距離になった。
そして、そんな暴力を振るう体に抗うことをギュンターはしなかった。それは眼前に至った少女のことを信じているからだ。
『ギュンターさん』
『どうしましたか、カムイ様?』
『え、えっとですね……。その……』
『おやおや、私に言い辛いこととは、一体なんでしょうかな?』
『茶化さないでください。でも、確かに面と向かって言うのはなんだか恥ずかしいですね。ふふふっ』
紀億の中のカムイが笑う。そして、それに釣られて記憶の中のギュンターも笑った。
穏やかだった、幸せだった。
『えっと、その、義父さんって、今日は呼んでもいいですか?』
『……』
『な、なんですか、そんな顔しないでください。は、恥ずかしいじゃないですか』
『いえ、申し訳ありません。何分突然のことでしたので……。しかし、どうしてそのようにお呼びになりたいと?』
『だって、ギュンターさんは私にとって義父さんって呼べる唯一の人だから。その嫌ですか』
そう悲しそうに言うカムイに、その時のギュンターはやんわりと断った。
(……嫌なわけありませんよ、カムイ様。ですが申し訳ありません、やはり恥ずかしいのも確かでしたから、その願いを聞き入れることはできませんでしたな)
復讐のために近づいた少女にギュンターは救われ、そしてその後に今の皆が集う場所が出来あがった。
すべてを失いマイナスから始まった第二の人生と考えても、ここまで城塞で過ごしてきた日々たちは手から溢れるほどの幸福だった。
そして、その幸福を投げ出して再び復讐に身を投じたギュンターに、もうこの先を求めるほどの力は残っていない。夢から覚めたのは、復讐者としてのギュンターなのか、それともカムイと出会った後のギュンターだったのか。考えても、意味の無い問いかけだった。
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