過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga]
2016/02/25(木) 23:44:38.85 ID:/mUgx/Fs0
◇◆◇◆◇
渾身の力を振り絞って槍が突きだされる。踏み込んだカムイのこめかみめがけて突き進んだそれは、彼女の数本の髪の毛を切断するに至り、その腹から一刀両断される。床に叩きつけられた槍は金属音を響かせ、そのまま終夜の剣先が静かに返される。カムイの構えが終わった。
「はああああああああっ!!!!!!」
入れ替わるように彼女の足が床を蹴る。渾身の力で踏み込んだ体は全体重をぶち当てるようにして突き進む、時間が静かに流れているとわかった。
鎧の隙間に剣先が静かに入り込む、感じたのは皮膚に走る冷たさと、引き千切れる肉の音、体重に任せた一撃は老体の体を蝕み、やがて体そのものを貫くにまで至る。滴り始めた血は静かに彼女の姿を濡らし、やがて体を舞う憎悪の炎は役目を終えた灯りのように、ふっと姿を消しさった。
「……見事、……でしたぞ」
自然と言葉が漏れる。弱弱しく手がカムイの体を抱きとめ、自然と残った右手がカムイの髪を撫でた。
短く押し殺した嗚咽が聞こえ、見てみれば鎧に数滴の雫が落ちている。その雫はギュンターが仕えてきたことに意味があったことを示すものでもあった。
「……敵将を倒して涙を流すとは、カムイ様らしいですな。本当に優しい方だ」
「敵将じゃありません、私はギュンターさんを、殺してしまったんです。主であるのに、臣下を切り捨ててしまったんです……」
「……こんな私をまだ臣下と呼ぶとは、甘いですぞ」
「甘くて構いません。ギュンターさんから見たら、まだ私たちは手間のかかる子供なんですから……」
そう言ってカムイは静かにギュンターの胸から顔を放す。その顔は確かに涙を流しているが、どうにか堰き止めようと踏ん張っている。まだ嘆くことはできないと知っているから、まだ彼女たちの戦いは終わっていない。泣くのはすべてが終わってからでいいと、その目は力強く語っていた。
「こんな子供の私たちをここまで育ててくれてありがとうございます。ギュンターさん」
手をしっかり握りしめられる。とても温かかった、温かくて、同時に静かに眠気がやってくる。もう長くないと悟った。
なら、もう、留まることはできない。子供たちはもう歩み始めているのだから、しっかりと送り出すのが親の使命だとわかっているから。
気づけば、城塞の面々がカムイと共にいた。誰もがギュンターを見ている。そしてそれらは悲観的なものではなかった。だから、待たせるわけにもいかない、彼らには未来がある。もう、私の未練と復讐という古い場所に縛り付けるわけにはいかない。押し出すくらいの力は残っている。でも、格好をつけるのは、なんだか恥ずかしかった。いつも通りでいいと、ギュンターは顔を静かに上げる。
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