3: ◆sIPDGEqLDE[sage saga]
2015/10/07(水) 15:29:18.19 ID:1tXlvZV40
ドアノブに伸ばした手を引っ込め、数歩後ろに下がり、背後にある手すりに両肘をついて身体を預けます。
ビルの三階から見える景色は、あの頃とはあまり変わっていません。
けれど、同じ場所から見る景色は、確かに変わってしまったのだと思えました。
19歳になった私は、ここに事務所を構えていた頃よりも背は伸び、視点が変わって、あの頃見えなかった物も見えてしまいます。
あの頃は、手すりによりかかる事はできず、ただ隣のビルの上層部と、綺麗な青空しか見えていませんでした。
でも今は、路地裏に打ち捨てられた多くのゴミや、お世辞にも素行が良いとは思えない人の往来が目に入ってしまいます。
背が伸びた事で、上だけで無く下が見えるようになって、ここも自分も、あの頃のままじゃないんだと、いやが上にも思い知らされました。
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