過去ログ - 鷺沢文香「魔王と言の葉」 -SS速報VIP

過去ログ - 鷺沢文香「魔王と言の葉」

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12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/09(金) 01:38:57.71 ID:/zgHOVqL0
～　数十分後　～

「おぉ……！よもやこれほどとは……！」

決して広くない私の賃貸アパートに招き入れると、蘭子さんは目を輝かせました。

以下略

13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/09(金) 01:41:14.29 ID:/zgHOVqL0
「なにか良き書は見つかりましたか？」

淹れたてのお茶を出しながら問いかけると、彼女はキラキラした笑顔でこちらを振り返ります。

「うむっ！流石は言の葉の紡ぎ手よ！」

以下略

14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/09(金) 01:42:11.09 ID:/zgHOVqL0
「これは……」

すこし、うれしいですね。

「三四郎、ですか」

以下略

15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/09(金) 01:43:32.37 ID:/zgHOVqL0
「あの、お借りしてもいいですか？」

「ええ、もちろん」

私にとって大切な物語。それに誰かが興味を持ってくれたことが純粋にうれしくて、自然と頬がほころびます。

以下略

16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/09(金) 01:46:18.25 ID:/zgHOVqL0
「あ、ちがっ！　えっと、その……綺麗……だった、から」

そんなことを言うのです。
今度は私が林檎のように赤くなる番でした。
よく顔から火が出そう、という表現がありますがまさにそのとおりで、顔中が――耳までもが熱くなっていくのを感じます。

以下略

17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/09(金) 01:49:03.58 ID:/zgHOVqL0
「蘭子さん…………月が綺麗ですね」

口を衝いて出たのはそんな言葉でした。
おあつらえ向きなことに、窓から見える夜の帳を下ろしつつある空には美しい丸い月が浮かんでいます。
ですがそれも所詮、借り物の言葉。

以下略

18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/09(金) 01:51:06.78 ID:/zgHOVqL0
「え、あ、あのそれ……」

どうやら、神様にはそんな願いを聞き届けているような余裕はないようでした。
そうとなっては誤魔化すしかありません。

以下略

19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/09(金) 01:52:07.60 ID:/zgHOVqL0
「…………いいわ」

小さく、彼女が何事か呟いたのが聞こえます。
私はそちらに顔を向け、そして固まってしまいました。
あんまりにも切なげで美しい、夜の闇すらも従える女王がそこにはいたのです。

以下略

20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/09(金) 01:52:56.37 ID:/zgHOVqL0
「あ、あの、蘭子さん……？」

夜が迫ってくる。
大きな二つの紅い月に射竦められて、私の体は言うことを聞こうとはしてくれません。

以下略

21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/09(金) 01:54:33.14 ID:/zgHOVqL0
「「～～～ッ！！」」

歯が……ぶつかりました……。
痛いです、とても。
さっきまでの艶めかしい雰囲気が嘘のように消えてしまって、残されたのは涙目で口元をおさえてうずくまる二人の少女。

以下略

22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/09(金) 01:59:51.77 ID:/zgHOVqL0
＝　終　＝

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
文香さんも蘭子も大好きなんですが、口調が……。
デレステに文香さんが追加されてわくわくしているんですが、私のところにはまだ来てくれません、つらいです……

以下略

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