7:名無しNIPPER[saga]
2015/10/13(火) 03:16:31.30 ID:BpcSycVC0
「ああ、おねがいするよ――――いやいや、まったく捻くれているな、相変わらず」
ボーイが去った後も、葉山は面白そうに話を続ける。
「天職じゃないかい? さっきは言いそびれたが……君のコラム、結構評判のようだよ」
えっ、マジ? 俺いつも編集長から鬼のように訂正させられまくって校了前とか鬱半歩手前まであるんですけど。
「散々第三者の視点で辛辣に書き倒した後、最後にちょこっと評価ポイントを付け加えてくるから憎めないなんて言われてるよ」
言葉の途中でチェイサーを煽っていた葉山は、次はお前のターンだと言わんばかりにグラスをコースターの上へ逢着させた。
「あれは保険だ。今日日、揚げ足取りばっかりやってたらそこの法務にどんな訴訟を起こされるか分かったもんじゃない」
「じゃあ、今日の俺のインタビューもそれなりにはやってくれるかい? 」
くすっと笑う葉山のそのあまりの無防備さに、俺も思わず否定をしそびれてしまう。お酒の飲みすぎはダメ、絶対!
「まあ――それなりにはな。仕事だからな」
「ああ、仕事だから仕方ないな。おっと、どうも――――そういえば乾杯もしていなかったな」
「む……その必要は」
「まあまあ。商談相手との乾杯も仕事の内、だろう?」
ここまでくると、思いのほか馴れ馴れしい葉山の態度が、寧ろ楽しみになってきた。
俺ごときに親しげにしてしまったことで、明日二日酔いを拗らせます様に。
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