過去ログ - 八幡「それでも俺は・・・ゆきのんとゆいゆいの抱き枕が欲しい(ファミレス)」
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67:名無しNIPPER[saga]
2015/10/24(土) 00:44:27.10 ID:0tTV2Oe40
境内から離れるといよいよ視界は闇に塗りつぶされる。森の胎で冷やされた空気が濃密になる。
冥府の門を潜っているかのように、俗世の気配は遠ざかっているようだ。

「つーか何でお前、来たんだよ?肝試しなんか」

「・・・別に。海老名に誘われて」

「弟、・・・元気か?」

「ああ、まあね。おかげさまで」

会話もこんな調子でどこか軸が安定せずぶつ切りだ。

その時、茂みがガサッと揺れた。
「ひっ」と短く悲鳴を漏らした川崎が後ろに飛び退き、勢い余って背中から倒れ込んできた。
俺は咄嗟に脇の下から腕を通し抱きかかえるようにして体重を支える。
なんだかいい匂いがしてそのまま抱きしめてやろうかとも思ったが、何とか踏みとどまった。

「うわ、ビックリしたー」

と、体勢を立て直しながら、川崎は事も無げに安堵のため息をつく。
身を捩って俺の腕の中から逃げ出す所作も、どこか演技じみていた。吊り橋効果など、存在しないとばかりに。

「狸かなにかじゃねーか。お前ビビリすぎだろ・・・」

昼間お化け屋敷に入った時、意外にも川崎が一番慌てていた。

「・・・あたしのこと愛してるならちゃんと守ってよ」

そんな茶化し合いの応酬。川崎は所在なさげに視線を泳がせる。
このとき川崎はどさくさに紛れて俺の本心を探りに来てるな、と俺は思った。
俺は「愛してるよ」ともう一度抱きしめて・・・やりはしなかった。
返答に窮していると、懐中電灯が突き出される。

「アンタが持って先歩いて」

川崎は俺の後ろに回り、上着の端を掴んだ。いや、掴んだというより最小面積をつまんだと言ったほうが的確か。


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