過去ログ - 鷺沢文香「私……少しは変われたのでしょうか?」
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6: ◆dgnrzzdaHc[saga]
2015/10/19(月) 02:25:44.77 ID:kGT2c1FF0
──1年前──

私……鷺沢文香は普通の女子学生でした。

叔父の経営する小さな古書店でバイトをし、大学と自宅を行き来する日々。

引っ込み思案な私はサークルやクラスの人たちと仲良く交流など出来るはずもなく……唯一の友達は常にかばんに携帯している小説のみ。

そんな自分を変えなくてはいけないとは……常々思ってはいましたが、残念ながらこの年になるまでそのきっかけとなるようなことは起きませんでした。

いえ……きっかけは起きるものではなく、起こすものですよね。

今でこそそれを理解しているのですが……あのときの私はまるで…小説の中の主人公のように
……なんらかの劇的な出来事が起こることを期待していたのだと思います。

当然ながらそのようなことは起こるはずもなく……そこに気づかなかった私は
…きっかけが起こることを期待しながらも……やはりこれからもこうして書を読みながら……静かに生きていくのだと思っていました。

ですが…唐突に、そしてなんの脈絡もなく彼はやってきました。

黒く…特に飾り気のないスーツに身を包んだ……私たちの魔法使いさん。

彼は、暗い場所で本という城壁に囲まれた私を……明るく…そして華やかなステージへと連れて行ってくれました。

人は…必ず人生の転換点と呼べるような……そんな大きな選択を目の当たりすることがあると言います。

私にとってそれは…やわらかな粉雪の降る……何の変哲もない日に舞い降りたのでした。


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