過去ログ - 千早「12色のクレパス」
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22:名無しNIPPER[saga]
2015/10/24(土) 15:10:30.71 ID:wlnW7ggg0
 響とは、目を合わせられない日が続いて――。
 結局、上手くいかなくて、何度も作り直しては、また失敗の連続で――。


 そうしているうちに――すごく、自分が情けなくなったんです。

 編み物とか、女の子らしいことができない悔しさだけじゃありません。
 自分の――何というか、空気の読めないガサツさが、恨めしくなって――。

 ウジウジするのなんて、全然ボクらしくないのに、どんどん気持ちが沈んで――。
 そのモヤモヤを抱えたまま、編み物をして、失敗して、一から作り直しになって――。

 また、グチャグチャになっちゃった――作り直さなきゃ――。


 何度も繰り返すうちに――とうとう堪え切れなくなって、泣きました。
 夜中の事務所で、一人で。

 こんなんじゃ、いつまで経っても響に合わせる顔が無い――。
 繊細な響や皆と違って、ボクはなんて乱暴で不器用なんだろうって。


 その時、夜中なのに、誰かが事務所に入って来たんです。
 見ると、プロデューサーでした。


 プロデューサーは、どうしたこんな時間に、って不思議そうに聞いてきました。
 ボクは、心配されないように急いで涙を拭いて、何でもありませんよって答えます。

 何だそれ、編み物か? って、今度は聞かれました。

 慌てて隠しても、もう遅くて――誰のために編んでるんだ、って。

 あの時の、意地悪くニヤニヤしたプロデューサーの顔、忘れられないなぁ。



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