50:名無しNIPPER[saga]
2015/10/24(土) 16:48:45.76 ID:wlnW7ggg0
私の隣で、あぁ、綺麗なお月様ねぇ、という暢気な声――。
あまり経験はありませんが、誰かと一緒に月を見るのも、存外悪いものでもありません。
悩みというのは、案の定、なかなかオーディションに合格できないというものでした。
これまでは、プロデューサーや律子嬢がせっかく取ってきた機会だからと――。
そう思い、自分を奮い立たせ、オーディションに臨んでいたのだそうです。
しかし、プロデューサーが亡くなり、律子嬢の手も回らなくなり――。
自分でオーディションを選択し、申し込むようになってからは、それができないのだと。
自分だけの我儘で、誰かを蹴落とすくらいなら、合格できなくとも良いのかも、と――。
そのような考えに至り、諦めることに慣れてしまっていると、彼女は言いました。
私は、そうのたまう彼女のことが、不愉快に思いました。
骨身を削り、神経をすり減らして仕事を獲得している私への、嫌味とすら思いました。
頂点とは、孤高の存在です。
他者を気に掛けることなく、常に上を見据えていなければ、辿り着くことは叶いません。
それができぬ者に、トップアイドルを目指す資格などありません。
何の覚悟も持たない貴女は、恥を知るべきです。
そう――彼女に辛辣な言葉を、私はぶつけてしまいました。
彼女は、少し寂しげな顔をして――なおも穏やかに、ふふっと笑いました。
何がおかしいと言うのでしょう。
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