過去ログ - 千早「12色のクレパス」
1- 20
50:名無しNIPPER[saga]
2015/10/24(土) 16:48:45.76 ID:wlnW7ggg0
 私の隣で、あぁ、綺麗なお月様ねぇ、という暢気な声――。
 あまり経験はありませんが、誰かと一緒に月を見るのも、存外悪いものでもありません。


 悩みというのは、案の定、なかなかオーディションに合格できないというものでした。

 これまでは、プロデューサーや律子嬢がせっかく取ってきた機会だからと――。
 そう思い、自分を奮い立たせ、オーディションに臨んでいたのだそうです。

 しかし、プロデューサーが亡くなり、律子嬢の手も回らなくなり――。
 自分でオーディションを選択し、申し込むようになってからは、それができないのだと。

 自分だけの我儘で、誰かを蹴落とすくらいなら、合格できなくとも良いのかも、と――。
 そのような考えに至り、諦めることに慣れてしまっていると、彼女は言いました。


 私は、そうのたまう彼女のことが、不愉快に思いました。

 骨身を削り、神経をすり減らして仕事を獲得している私への、嫌味とすら思いました。


 頂点とは、孤高の存在です。
 他者を気に掛けることなく、常に上を見据えていなければ、辿り着くことは叶いません。

 それができぬ者に、トップアイドルを目指す資格などありません。
 何の覚悟も持たない貴女は、恥を知るべきです。

 そう――彼女に辛辣な言葉を、私はぶつけてしまいました。


 彼女は、少し寂しげな顔をして――なおも穏やかに、ふふっと笑いました。

 何がおかしいと言うのでしょう。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
177Res/216.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice