過去ログ - 【R18】「粉雪が身体を冷やすから…」【モバマス】
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8:名無しNIPPER[saga]
2015/10/25(日) 17:39:45.67 ID:gPJ/lNL8o



3.

信号機のLED光が運転席の留美の顔を照らす。

(美人だよなぁ、この人…)

助手席でその横顔を盗み見しながら、彼は居心地の悪さを身じろぎで誤魔化した。

「…あの、助かりました。ありがとうございます」
「良いのよ、一人で車に乗って帰るのも、味気ないし」

そういえば、マネージャーが付いていないことが不思議ではある。

しばらく躊躇したが、何か会話の糸口にと思い、彼は思い切って聞いてみることにした。

「あの、送迎はマネージャーさんがやるんじゃないですか?」
「え? ああ、そうね… 愛梨ちゃんはそうかも知れないけど、私程度のアイドルなら、送迎なんか付かないわよ」
「あ、すいません…」
「ふふ、なんで謝るの?」

彼は失念していたが、愛梨はあれでもシンデレラガールである。

他のアイドルとは扱いが一段違うことを、今さらながら彼は思い出した。

「ま、愛梨ちゃんは売れっ子っていうの抜きにしても、送迎つけないとマズイかもしれないけど」
「あ、それ、当たってます。アイツ、未だに東京の私鉄を把握してないから、絶対に迷子になります」
「本当? ふふ、天然って話は本当なんだ。それとも…」

チラリ、と艶のある流し目で助手席を見る。

「素敵な彼氏が居るから、覚える必要が無いのかしら…?」
「そんなんじゃ… そんなんじゃないですよ…」

美人の代名詞のような端整な顔立ちで言われ、彼は思わず胸が高鳴るのを感じた。

(いかん、いかん… 俺には愛梨が居るんだから…!)

とは思うものの、美人秘書という単語をそのまま具現化したような留美に、ついつい視線が泳いでしまう。

気を抜けば、タイトスカートからスラリと伸びる美脚に集中しそうな視線を強引に引き剥がす。

「あー、愛梨とは長い付き合いですけど、けっこう喧嘩もしますし…」
「へえ、どんな理由で?」
「そうですね… 焼き芋にバターを付けるか、付けないか、とかで…」
「ぷっ… なにそれ…!」

意外にツボに入ったのか、留美がクールな表情を崩して笑いだす。

その、意外と無邪気な笑い顔に、彼は再び、ドキリ、としたものを感じた。


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