18:名無しNIPPER[saga]
2015/10/25(日) 22:16:48.20 ID:HbvnQMH70
八幡「で、今日はなんの用で?」
役人「君の所持品を持ってきた。ほら」スッ
八幡「あー、もう必要なかったんですけどね」
役人「これ全部、無人島を出るときに持っていたそうだな」
八幡「あーはい。俺のサバイバルキットです」
役人「これがサバイバルキット?」
八幡「ええ」
役人「……ボロ布に包まれた妙な草に、先端の尖った石ころ。あと……これはなんだ?」
八幡「木です」
役人「それは見ればわかる。なぜわざわざこんなデカい、木の欠片を持って帰ってきたんだ」
八幡「まあ、思い出ですよ。それにはいろいろとありましてね」
役人「思い出? というと?」
八幡「食べ物がない時、それを食べてしのぐんです。だから元々丸太ぐらいあったんですが……だいぶ小さくなりました」
役人「木を……食べていたのか?」
八幡「はい、何もないときだけですよ」
役人「そ、そうか……」
八幡「で、終わりですか?」
役人「はぁ……本当に君は話さないつもりなのか? この5年間を」
八幡「ええ、別に話す必要はないんで」
役人「……そうか。わかった」
八幡「あの、そういえば、いつになったら元の家に帰れるんすか? ここ、いい場所なんですけど、落ち着きなくて」
役人「それならもう少し待ってくれ。じきに元の家で暮らせるようになるはずだ」
八幡「あ、あと今度、知り合いが訪ねてくるみたいなんですが……」
役人「あー、妹さんから聞いたよ。それについても、もう手配済みだ。心配するな」
八幡「そうですか。わざわざありがとうございます」
役人「いや。……おっと、これは君に返しておく」
八幡「あー、別に捨ててもらっても構わないですよ。いらないんで」
役人「君の大事な思い出なんだろ? なら取っておけ。ではな」スタスタ
ガチャ
バタンッ
八幡「……こんなもの、二度と使わないのに」
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