6:名無しNIPPER[saga]
2015/10/25(日) 20:37:23.15 ID:HbvnQMH70
役人「……それで、そろそろ話してくれないか?」
八幡「ん? 話したじゃないですか。飛行機に乗って、3、4時間たったころ……」
役人「そのことじゃない、その後のことだ。君は事故発生から5年の月日を経て、ここ日本に帰ってきた。その間、君に何があったんだ?」
八幡「何って、別に……」
役人「話によると……つい先日、君は南シナ海沖の無人島で発見されたそうじゃないか。たまたま近くを通りかかった中国の漁船に、助けを求めて」
八幡「……まあ、はい」
役人「その後、身元確認のため中国政府に引き渡され、調査したところ、事故の犠牲者であると判明した」
八幡「はい、そうみたいですね」
役人「じゃあ聞くが、君は事故の後、その無人島に漂着したのか?」
八幡「ええ、たぶん」
役人「その後、そこで5年間も暮らしたと?」
八幡「はい」
役人「……中国政府と、地元の方の話によると、その無人島で5年もの間生きていくことは不可能だそうだ」
八幡「……なぜですか?」
役人「周りは岩礁に囲まれ、船もそう簡単に出入りすることはできない。さらに島での環境も悪く、植物は生えているものの、鹿や豚といった人間の食料となる生き物は生息していない」
八幡「はぁ……」
役人「そんな環境下で、君は5年間も生き抜いたのか?」
八幡「まあ、ここにいるってことは、そうなるんじゃないすか」
役人「……それに君自身、事故以前とはかなり違うように見えるが?」
八幡「そうですか? まあ髪は短くなりましたね」
役人「顔はさほど変わらないが、筋肉の付きようといい、その目付きといい、どこか普通とは違う」
八幡「目は元々なんですよ、いやこれほんと」
役人「……君、真面目に話してくれ」
八幡「……真面目に話してますよ」
役人「いいか。君が今、ここで家族共々暮らせるのは、私たちのおかげだ。もし、私たちが君たちを匿わなければ、君も家族も、マスコミの格好の的になるんだぞ」
八幡「……」
役人「君は帰ってきてもなお、家族を苦しめるつもりか?」
八幡「……」
役人「……」
八幡「……あなた方の要求は、事故当時の話のはずです。その見返りがこれでしょ? 事故の後、俺自身に起こったことを話す必要はないはずですが」
役人「……わかった、いいだろう。今日はそういうことにしておく。だがまた明日、私はここに来るぞ」
八幡「ええ、どうぞ。もう話すことは何もないですが」
役人「……」
キーバタン
八幡「はぁ、めんどくせー」
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