18: ◆zBD0SRBQXI[saga]
2015/10/26(月) 01:39:24.36 ID:15cRyqBe0
響ちゃんは青葉よりもずっと大人でした。
見た目はそれこそ小学生のようですが、戦後賠償艦としてロシアに渡り、異国の地で過ごしてきたせいか、
同型艦の暁型の面々に比べて遥かに大人びています。
響ちゃんは中身を一口口に含み、青葉に鉄製の瓶を渡してきました。
「ウォッカだ。一口飲むといい。体があたたまる。」
「今は作戦中ですよ」
「いいんだ」
「それでもし敵を見逃したら、誤認したら、大変なことになりますよ」
「構わない」
青葉は語気を強め反論しようとしました。
この作戦の意味は誰もが知っているのに、むきになってしまいました。
すると
「だって君、震えているじゃないか」
そうです。青葉は震えていました。
上層部への怒りと、夜戦で敵を見逃してしまうかもしれない不安、正体の異常な雰囲気に飲まれ、青葉は震えていました。
「恐縮です」
青葉はウォッカを一口口に含みました。
喉が焼けます。
ですが、喉を焼く熱が、青葉の血管に伝わり、震えは治まってきました。
「落ち着いたかい?」
「ええ、おかげさまで」
「ハラショー、そいつは良かった」
震えが収まると、視界が急に広がったかのように感じます。
周囲の気配も、潮の動きも、風の流れも手を取るようにわかります。
そこで、青葉は一つ気付きました。
響ちゃんも気づいたようです。
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