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2015/10/31(土) 16:14:31.05 ID:kIazE1A+0
老人「あの…」
騒ぎの中にひとりの老人が突然割り込んできた。
老人「さっきトイレの中でこれを拾ったんじゃが、もしかしておまえさんのかの?」
老人は黒い牛革の財布を差し出す。
男「間違いねェ!それは俺の財布だ!ありがとうよ爺さん!」
老人「洗面台のそばに落ちてたぞい」
男「そうか…ハンカチを出す時に…」
アイシャ「どうやら財布はあなたがトイレで落としたようね…」
男「そ、そうだな…」
アイシャ「彼に一言謝りなさいよ」
男「アラブ野郎に頭なんか下げられるか!ふざけんなクソアマ!
アラブ人ってだけで嫌疑を掛けられても仕方ねーんだ!俺が謝ることはないぜ!」
男「サノバビッチ! おまえらみたいのは早く国にケエレ!」
男はそう言うと、レジで会計を済ませ、ズカズカ足早に店を出て行った。
あの男のせいで店の中の空気は冷めてしまった……
アイシャはアラビア語でアラブ人の男に話し掛ける。
アイシャ「大丈夫?」
アラブ人「大丈夫…大丈夫…」
アイシャ「ああいうのもいるけど、この国も悪い人ばかりじゃないのよ?」
アラブ人「うん、分かってるさ…ああいうのは慣れっこだよ」
アイシャ「そう…」
アラブ人「ありがとう、勇敢な人、本当にありがとう…」
アイシャとアラブ人は中華饅頭を食べながら話をした。
アラブ人「あなた、アメリカで生まれ育った人ですね?」
アイシャ「そうだけど…やっぱり分かる?」
アラブ人「雰囲気もそんな感じだ」
アイシャ「でも、昔はアラブにいたのよ?その頃の名残りは今でもあるわ、
たとえば…向こうではタブーだった豚肉は今でも食べないもの」
アイシャの食べている中華饅頭はアンマンだ。
アラブ人「なるほど…」
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