過去ログ - 速水厚志「ハッピーエンドを取り戻す」
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13:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 21:10:16.54 ID:08xPns3X0


白みかけた空から、青白い翼を羽ばたかせ、天使のような姿の知性体が舞い降りた。

カーミラの腹心の、ライザである。

「敵襲……! 阿蘇市街に、敵幻獣多数!」

口許を引き結んだ舞と、決意を瞳に燃やしたカーミラは、互いに頷いた。

「行くぞ、厚志」

「うん。行こう、舞」

士魂号複座型に駆け乗ろうとする二人に、狩谷が車イスを走らせてきた。

「速水! これを!」

搭乗しかけていた厚志に、何か投げる。
厚志はそれをキャッチし、手のひら大のそれをきょとんと見た。

「プログラムセルだ。多目的結晶にそれを使ってから神経接続を行え」

「狩谷くん、これは……?」

「心配するな。たいしたものじゃない。……中村に頼まれた。ただの祈りだ」

「……分かった。ありがとう」

重傷を負い病院へと運ばれた中村に、いつの間に頼まれたことなのか。
そんなことは気にもかけず、厚志は笑顔でお礼を言い、左手の多目的結晶に渡されたプログラムを使用した。

「これは……」

「何をしている、厚志。早くしろ」

既に操縦席内に収まった舞にせかされ、すぐ滑り込み神経接続を行う。
ふっとグリフに落ち、一瞬青空、青い海が見えたかと思うと、厚志は8メートルの巨人と一体化し、それを立ち上がらせた。

「大量の敵が阿蘇市街まで再び侵攻。種類と数までは確認が取れていませんが」

「またセムティックスを背負わされているだろうな」

善行からの通信に、舞はそっけなく応じた。

「歩兵が起爆装置を持った敵を潰すまでは、なるべく離れて戦って下さい。支援火力に乏しいので、内臓を抜き取る例のアレも厳禁です」

「分かっている。厚志、聞いたな」

「うん。離れて動き回っていたら、舞が狙撃してくれるんでしょ」

92ミリライフルを装備し、腰にもジャイアントアサルトと予備弾倉をセット。

「そうだ。来栖と若宮が起爆装置をやったら、あとはいつも通りだ。行け!」

とん、と背中のシートを蹴られ、厚志はアクセルを踏み込む。
ぐんとGがかかり三番機が走り出した。

「わわっ、待てよぉ!」

イタリアンイエローの塗装を施された、滝川の軽装甲が後に続く。

それから随伴歩兵両名の張り付いた戦闘指揮車。離れて石丸、佐藤の戦闘車両と、二台に守られる形で補給車、武装を積んだトレーラーも。

戦場へと。

生まれ故郷へと、加速していく。




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