過去ログ - 速水厚志「ハッピーエンドを取り戻す」
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名無しNIPPER
[saga]
2015/10/31(土) 21:42:55.42 ID:08xPns3X0
……行ったか。
冷たい地面に背中を預けながら、芝村舞は目を閉じた。
そして歌を、静かに口ずさむ。
「はるかなる未来への、階段を駆け上がる……あなたの瞳を……知っている」
今ならわたしは信じられる あなたのつくる未来が見える
あなたのさし出す手をとって わたしも一緒に 駆け上がろう
幾千万のわたしとあなたで あの運命に打ち勝とう
はるかなる未来への階段を駆け上がる わたしは今ひとりじゃない
「アールハンドゥガンパレード。未来のために、マーチを歌おう。ガンパレード・マーチ……ガンパレード・マーチ……」
自分でも、何を言っていたかよく覚えていない。とにかく厚志にはまだやらねばならないことがあり、自分はそれを送り出してやらねばならなかった。
それだけだ。
それで充分だ。
(本当にそうか?)
声がして、自然と目が開いた。首を横に向けるとそこには、白い、美しい毛並みの白い猫がいた。ただし、とても大きい。キメラや、雷電ほどもある。
(戦巫女王よ。やらねばならないことは、まだあるのではないか)
「……そうだな。だがわたしの体はもう一ミリも動いてくれぬ。恥ずかしいことにな」
(そんなことはない。友のため戦う意志があれば、這ってでも進める。……わたしの背に乗れ)
「そなたが、足になってくれると言うのか」
(足にも、手にもなろう。千里を走り、万敵を屠り、地獄まで舞踏を続けよう。今ここに盟約は果たされた)
不思議と体は、すっと立ち上がった。あれほど力の入らなかった、痛みすら感じなくなっていた体なのに。
「……これは夢か?」
(そうだ。だが、よきゆめだ)
大きな白猫は舞を背に乗せ、戦場を走りだした。
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