過去ログ - 【安価】七つの家で聖杯戦争RETRY【募集系】2 -SS速報VIP

過去ログ - 【安価】七つの家で聖杯戦争RETRY【募集系】2

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969: ◆BX96/KwFHU[saga]
2016/06/10(金) 20:56:03.64 ID:oQx55Isjo

　「いや、そういうわけじゃないですけど……」

　酒は苦手じゃない。周りと比べても、強い方ではあると思う。
　だけど、そもそもものがなければ飲むことだってできはしない。

　「……とりあえず、中身があるものをお願いします」

　「？　おっと、空っぽだったか。こいつはいけねえ、ガハハハハ」

　漸く酒瓶の中身がないことに気づいたらしい大男は雷のようにごろごろ笑って、俺との間に並んだ空き瓶たちを片手でざっと脇へ払った。

　「それじゃ仕方ねえ。酒を取りに行くか……おい！　誰かいねえか！」

　そう言って座ったままがなり立てる大男の様子は、さながらDVでもやってそうなアル中の駄目夫か何かだ。
　見た目も荒々しそうだし、普通に生きていたら、俺のような人間は絶対に関わらないようなタイプ。
　住む世界が違うと、はっきり分かる。

　……だけど、きっとこの家では、それがスタンダードなんだろう。

　日本の『任侠』――――アウトローの一つの究極系。
　魔術師だって決して堅気とは言えないけれど、その程度が違う。

　「おい！　誰か……ん？」

　うなり続ける大男。三度ほど大声を出した後、部屋にふわりと風が吹いた。
　驚いた俺は周囲を見渡し、その部屋が閉め切られていることを確認して、もう一度驚いた。
　……今の風はどこから吹いた？

　その答えは、時間をおくことなく明らかになった。

　「『酒』なら、ここにある――――」

　渋みのある、深い声。
　大男の声が荒々しさと野生を感じさせるとしたら、その声は、人を安心させる落ち着きの中に有無を言わせぬ力強さを内包している。

　気がつけば、俺と大男の間には中身の詰まった一本の酒瓶が置かれており、
　その先端に伸びる手を視線で辿ると、スーツ姿の紳士が座っていた。
　先ほど火宮家とドラゴン使いが戦っていた時にいたうちの一人だ。

　今までいなかったのに、一体どこからやってきた？
　……ともかく、さっきの風はこの紳士の仕業で間違いなさそうだ。

【判定】
度数
直後コンマ二桁反転

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