過去ログ - 贖罪の物語 -見滝原に漂う業だらけ-
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547:名無しNIPPER[saga]
2016/12/05(月) 01:03:04.73 ID:pcklMu+QP

 そんな荒れ果てた小巻を救ったのは、美国織莉子だった。

 いや、織莉子にも多少の打算はあっただろうから。これを『救った』と単純に断言するのはかなり賛否両論が飛ぶと思うが。

 少なくとも小巻自身は救われたと感じた。


 彼女は時に小巻と敵対し、時に対外的な圧力をかけてグリーフキューブの供給源を断ち、時に小巻を暴力で屈服させ。

 そして長い時間、小巻の傍らに寄り添った。



「なぜ私にこんなにも付きまとうのか」と小巻が問うと、織莉子はこう答えた。

「あなたは昔の私に似ているから」。


 なぜ自分は生きているのか、自分もそんな風に酷く思い悩んでいた時期があった。

 何度も何度も生きることから逃げ出そうとした。

 そんな折にインキュベーターが現れ、織莉子は『私の生きる意味を知りたい』と願ったという。


 結果だけで言うなら、契約は失敗だった。

 インキュベーターは直接織莉子には生きる意味を与えず、起こるべき未来を知る力のみを与えた。


 けれど。


 過程を含めて言うなら、契約は大成功だった。

 織莉子は戸惑いながらも、幾重にも枝分かれした未来を見つめ、悩みながら選択し、そして少しずつ過去と現在と未来の因果関係を学んでいった。



『ありがとう』



 選んだ未来を進めていく過程で、幾つもの感謝の言葉が織莉子の中に降り積もっていった。




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