過去ログ - 贖罪の物語 -見滝原に漂う業だらけ-
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[saga]
2017/03/30(木) 23:46:52.42 ID:1Epf03YUP
彼女はたった一人で戦っていた。
魔法少女になる前から、ずっと一人で戦っていた。
「願い事をなんでも1つ叶えてあげる」。
その言葉を聞いたとき、すぐにあの病室を思い浮かべた。
夕焼けオレンジ色の中で、優しくカーテンの揺れる、あの2人の部屋を。
誰かのために願いを叶えることは、愚かなことだと聡いものは言うだろう。
でもたぶん、彼女には他の選択肢なんてなかった。
友達の前では、軽く明るく振る舞う彼女も。
恋する相手の前では、臆病でしおらしい彼女も。
恋敵の前では、不安に押し潰される彼女も。
きっと、どれもが本当の彼女で。
それは他の誰よりも、「普通の女の子」と呼ぶに値する姿だった。
失ったものは、恋と友と日常と、そして命。
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