40: ◆eO0MHGE6wPTj[saga]
2015/11/10(火) 23:36:17.53 ID:hXnjM4nD0
最初こそ多少は手間取ったものの、ほんの小1時間程度で慣れてきてしまっていた。
発足して間もない部門だからか、基本的にはプロフィールをまとめたり、アイドルの売り込み先のまとめたりと、単純な作業が多かった。
すると、遅れてやってきたのか、本来の出社時間なのかは分からないが、他のプロデューサーらしき人たちも出社してきた。
全員が揃ったようだが、見た感じ俺を含めて全部で4人。
それが多いのか少ないのかは分からないが、お互いに挨拶することも無く、来た者から部長に話を聞き、業務を始めていた。
意外とあっさりした環境だな、と思った。
むしろその方が俺にはありがたいのだが。
それからも、数時間ほど作業をぶっ続けでやっていた。
「へぇ、今日初めての仕事なのに、随分手際がいいんだね」
「いや、そんなことは、って、うわっ、びっくりした」
いきなり声をかけられ、何故かすんなりと返事をしてしまったが、言いながら声の元を見て、驚いてしまった。
「その驚き方に驚くよ」
凛だった。
いつの間にレッスンから帰ってきていたのか、業務に集中して気付かなかった。
「あぁ、ごめん」
「ううん、いいよ、それより部長さんが、新しくプロデューサーになったんだから、家の人に挨拶でもして来なよ、って言ってたけど、どうする?」
どうするって言われても。
「どうするって言われても」
しまった。
声に出してしまっていた。
「えぇ、じゃあ行こうか。私もこの後は帰るくらいしかやることないし、ついでに、ね」
「あ、あぁ、そうだね」
何故かおかしな方向に捉えられ、何故か凛の家に行くことになってしまった。
「じゃあ早速行こうか。案内するよ」
「あ、く、車だそうか?」
何を言っているんだ俺は。
ろくに話せないこの子と車になんて乗ったら、地獄もいいところだ。
いやむしろ地獄のほうがマシかもしれない。
断れ、断れ断れ。
そう何度も念を送った。
が。
「いいの? じゃあ、お願いしようかな」
残念ながら通じなかったようだ。
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