7:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 18:48:53.11 ID:Pnjk1jYA0
外に出てしばらく待っていると、凛が戻ってきた。
「凛、そろそろレッスンも始まるから終わりにしたらどうだ?」
「ん、もうそんな時間? それじゃ、もう戻ろうかな」
そう言って俺の渡したタオルを受け取った。
汗を拭いている凛を見ていて、やはりトップアイドルになれる素質はあるのに、そこまで連れて行ってやれていないことがたまらなく悔しくなってくる。
話すことのセンスなどが無いせいか、テレビ界でのディレクター等の知り合いも殆どおらず、他の346アイドルのバーターとしてテレビに出るくらいにしか出演機会を与えてあげられない。
凛もそんな現状には満足しているはずが無い。
プロダクション内で仲の良い島村卯月や、本田未央、神谷奈緒といった殆ど同時期に入ったアイドルにも大きな差をつけられてしまっているのだから。
他のみんなが有能なプロデューサーにプロデュースしてもらっているのに対し、凛がハズレくじを引いたのは誰の目にも明らかだろう。
それでも凛が俺に付いて来てくれる理由が分からない。
そこからまずプロデューサー失格なのかも知れないが。
「そろそろ行こうか、プロデューサー」
汗を拭き終えた凛が言った。
「終わったか、それじゃあ一回社内に戻ってから、凛はレッスンに出てくれ」
「うん、わかった」
そうやり取りを交わし、凛は歩き出した。
歩きながら、これからの凛を更に大きく飛躍させるにはどうすればいいのかを考える。
やはり仕事を選ばず、出来ることを少しでも多くやっていこう、とは毎回思うのだが、自分の中での凛のイメージがそれを阻止している。
クールなイメージの凛にはあまりイメージを壊す仕事をさせたくは無いからだ。
「どうすればいいんだろうなぁ」
スタスタと歩いていく凛の背中を見て、そう呟いた。
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