83: ◆eO0MHGE6wPTj[saga]
2015/11/20(金) 21:58:52.15 ID:htc6S+ds0
「えぇ〜、いいよいいよ、私、実は前のプロデューサー苦手でさぁ」
そう言いながら腕を組み、ウンウンと頷く未央。
「えぇ、未央ちゃん。思ってても口に出しちゃ駄目ですよぉ」
そう言って止める卯月。
「苦手って、何かあったのか?」
「だってさぁ、仕事仕事で私たちのことなんっにも考えてないんだよ? 無愛想というか、ただ商売の道具として見られてる感じがして嫌だったんだよね。私は道具じゃないってのー」
「そうだったのか。うづ、いや、島村さんも?」
危ない危ない。
つい名前で呼んでしまうところだった。
初めて話した相手をいきなり名前で呼ぶのはあまりよろしくは無いだろう。
と、そんな心配も無用だったようで。
「卯月でいいですよ、プロデューサーさん。それと、私も前のプロデューサーさんとはお仕事以外のお話はしたことがないんですよ」
「そうそう、私のことは未央ちゃんって呼んでね」
「わ、わかったよ。卯月、未央ちゃん。そうだったんだ。それでも、やっぱり仕事はあったでしょ?」
「それはそうですけど……」
案外女の子をちゃん付けで呼ぶというのは恥ずかしいもので、それならばさん付けで呼んだほうがマシだとも思えてくる。
「いや、やっぱり呼び捨てでいい、なんか未央ちゃんって呼ばれるのむずむずするよ。へへ」
それは未央の方も一緒だったようで、すぐさま呼び捨てで呼ぶこととなった。
「分かったよ。でも、ほんとに変な期待とかはしないでね。本当に才能ないんだ。俺」
「確か、プロデューサーは、あのしぶりんの担当だったんだよね?」
「しぶりん? あぁ、凛のことかな?」
「そうそうしぶりん。私達実はしぶりんと仲が良くってね〜」
「そうなんです! 一緒にカラオケに行ったり甘いものを食べに行ったりもしてるんですよ!」
どうやら凛はいつの間にこの事務所で沢山の友達を作っていたらしい。
加蓮と奈緒に加えて、未央と卯月とは。
実は普通にコミュニケーション取るのが上手いんじゃないだろうか。
「そうだったのか、でも、2人とも、よく立ち直れたね。凛は、その、あんな状況なのに」
俺がそう言うと、2人の顔が少し沈んだように感じた。
言ってしまってからしまった、と思った。
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