85: ◆eO0MHGE6wPTj[saga]
2015/11/20(金) 22:51:22.55 ID:htc6S+ds0
次の日、俺は約1年振りに、通常の時間で出社した。
今までのように、書類を押し付けられることも無くなったからだ。
しかし、その押し付けられた書類も、途中からは半ば無理矢理やりがいだ、と思い込むようになっていたが。
熱心に他の社員の分までやってあげている、と本気で思っていたのだ。
それでもやはり、その書類が無くなったことで俺の負担が確実に減ったのは、非常にいいことだ。
「おはようございます」
「あ、プロデューサーおはよう。今日は私達、前のプロデューサーが取ってきた雑誌の写真撮影の仕事があるから、付いてきてよ」
「えぇ、でもそれは前のプロデューサーだろ? 俺が行ったら変じゃないかな?」
「いやいや、むしろチャンスだよ。ここで自分の名前をいろんな人に覚えてもらったほうがいいじゃん」
なるほど。一理あるな。
あのプロデューサーは非常に気に食わないが、ここはひとつ、利用させてもらうとしよう。
いままであれだけの書類を片付けてきてやったんだ。
これくらいの得は当然だろう。
「わかった。それじゃあ車を出すよ」
「やったぁ、ありがとー」
「そういえば、卯月は――」
と、俺が言ったその時。
「遅れてすみませんでしたぁ!」
そう言って卯月が飛び込んできた。
「卯月も来たか、別に遅刻ではないよ。それじゃあ時間になるまで時間潰しててくれ。俺は少し書類作業をしてくる」
「えぇ〜。プロデューサーも一緒に遊ぼうよ〜」
「そうですよ、一緒にゲームしましょう!」
「ゲーム? でも俺には仕事が」
なんて事を言ったが、内心ではとても嬉しかった。
今まで遊びに誘われたことなんて無かったのだから。
「えぇ、やらないの?」
「いや、やるよ、そんな急がないといけないものでもないしね。で、なにやるの?」
「石取り」
「え? なにそれ?」
「プロデューサーさん! 石取り知らないんですか!」
「あぁ、そういうことする友達がいなかったからね……」
卯月のような純粋な子に言われるとダメージが大きいな。
「しょーがないから未央ちゃんがルールを教えてあげよう。まず、いくつかの石、なんだけど、室内でやるから石じゃなくてビー玉ね。それを順番に取って
いって、最後の石を取った方の負けだよ」
「先手が一個残して全部取れば勝ちじゃないか」
「それができないように一度に取れるのは3個までなんですよ!」
なるほど、なかなか面白そうだな。
「わかった。まずは2人のやってるところを見てもいいかな?」
「そうだね、そうしよう」
そう言って2人は準備を始めた。
準備といっても、ビー玉を持ってくるだけだが。
しかし、今どきの女子高生がこんなアナログな遊びをやるとは驚きだ。
もっとスマホやらなんやらで遊んでいるイメージがあったのだが。
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