14:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 18:31:57.40 ID:6LZx9kqto
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初めて出演したライブは、予想より遥かに大きな物でした。
レッスンも巧くこなせるようになって、そろそろライブを考えようかという頃。
事務所初の合同ライブが決まったんです。
「…………」
ソロでの出番を終えた私は、自分が生きているのか死んでしまったのかすら分からなくて。
ライブを無事終えたのか、それとも途中でばたんと倒れてしまったのかもはっきりしなくて。
「――お疲れ様、藍子っ!」
背中を叩かれた瞬間、本気で心臓が止まりかけたのだけは覚えています。
「えほっ、けほこほ! ごほっ!」
「わあぁっ!? マジごめん! だいじょぶ!?」
「は、はい……けほっ。大丈夫、です」
「ホントごめんねー……いやでもチョー決まってたよ★」
親指を立てた美嘉さんがウィンクを飛ばします。
そのウィンクを見て、ようやく自分が無事やり切ったんだと知りました。
知った瞬間、涙がどんどんとあふれてきて。
「あ……う、うぇっ…………」
「……え、ちょ、ちょっと藍子?」
「美嘉さん……アイドル……ぐすっ……アイドルになれて、良かったよぉ……」
「……あははっ。藍子、莉嘉みたい」
緊張の糸が途切れて、床にへたり込んでしまって。
そんな私を、美嘉さんがそっと胸に抱き寄せてくれました。
……あ。それと、その時の敗北感もよく覚えています。
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