40:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 23:45:54.51 ID:6LZx9kqto
そろそろ三十秒、数え終わったかな。
そうぼんやりと思っていると、遠くから足音が近付いて来ました。
さく、さくっと落ち葉を踏み締める音が、徐々に大きくなります。
「……ぁ」
もちろんその音の主はPさんで。
木の上を見上げるのではなく、ただ木の幹をじっと観察して回っているようでした。
そして私の居る――私の登りやすそうな木の前で、ぴたりと止まります。
普通なら、ズルをしていると思うでしょう。
けれど私には、Pさんは絶対ズルなんてしないという不思議な確証がありました。
「…………」
「…………」
静かな、まるで会話でもしているような沈黙が流れて、Pさんが幹に手を添えました。
そして足を掛けると、あっという間にするすると登ってやって来ました。
「…………」
「…………」
再び沈黙が流れて、私達は木の上に並んで腰掛けて、夕陽をじっと眺めます。
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