過去ログ - 【咲-Saki-】「あなたへ」
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10:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:09:54.60 ID:K0pC2q+ao

 それでも時々、心が軽くなることがあった。
「恋愛」にしろ「友情」にしろ、私は和ちゃんのことが好きなのだと純粋に思えたとき、和ちゃんのことを大切にしたいと思えたとき、私は私の心を洗い流すことが出来た。

 けれどそれは一時的なもので、心に根付いた黒いそれは直ぐにまた芽を出した。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:14:50.69 ID:K0pC2q+ao

 そしてあの日、私は初めて、和ちゃんからの電話とメールを無視した。

 何度も鳴る携帯に、私は罪悪感に押し潰されそうになった。
そして同じくらい、何と言うか……楽だった。
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:16:08.15 ID:K0pC2q+ao

 「用事」が多くなるにつれ、私はどんどん上手く話せなくなっていった。
時には自己嫌悪から不機嫌な声で電話にでたこともあった。

 それでも和ちゃんは私の下手な言い訳に、毎回付き合ってくれた。
以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:21:58.41 ID:K0pC2q+ao

 どっちから言ったかのは憶えていない。ただもうそういう雰囲気だった。
こういうのも自然消滅というのだろうか?

 その日は特に何も感じなかった。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:26:22.74 ID:K0pC2q+ao

――
――――

 朝6時、目覚まし時計が鳴っている。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:29:33.47 ID:K0pC2q+ao

 あれから彼女とは2回程しか会っていない。
それに「会った」といっても、本当に顔を合わせた程度だ。

彼女のプロ入団祝いでも気まずくて、二言三言話して逃げてしまった。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:32:57.51 ID:K0pC2q+ao
――

 私は今、いろいろあって龍門渕家の図書館(私立図書館や学校図書館など)の司書をしている。

 流石は龍門渕というべきか、蔵書の質も量も超一級である。
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:37:22.12 ID:K0pC2q+ao

 この日、誰に見られているわけでもないのに、急に思いついたように私はいつもと違う角を曲がった。

 ……この先には清澄高校がある。

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:45:11.18 ID:K0pC2q+ao

 あの美しかった桜は枯れ果て、葉の一枚もついていなかった。
もう冬の底なのだから当たり前なのだけど、やっぱり悲しかった。

 今日は朝までずっとここにいよう。
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:47:07.79 ID:K0pC2q+ao

 空が白み始めてきた。
結局和ちゃんは来なかった。

当たり前だ、誰も私がここにいることを知らないのだから。
以下略



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