過去ログ - 【らっきょ福音】両儀夫妻の日常会話
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13:RB20DETTT ◆Rnna8vyZW.[sage]
2015/11/06(金) 18:34:35.72 ID:ofSQU2xk0
刹那、彼女の澄んだ瞳に、艶めいた光が宿る。それは、悪戯を思い付いた猫。いや、獲物を見つけた捕食獣のそれか。
しかし、僕がその正体を探るのを拒むかの様に、閉じられる目蓋。そのまま、彼女は続ける。

「…なぁ、二人だけでこんな風に話するのって、いつぶりだろうな」
「それは… あれ? えっと、わかんないや」
「フフッ。そうだよな。実を言うと、オレにもよくわからない」

僕も彼女も、周囲から「大人」と認識される年齢になった。少し風変わりではあるけれど、それぞれ仕事も持って、毎日それなりに忙しくしている。

そして。僕と彼女の間に、当たり前の様に存在する小さな生き物。いつもはしゃぎ回り、拗ねて、泣いて、喜んで、甘えてくる、第三の命。

娘が生まれてから、ずっと三人で過ごしてきた。父と母の愛情を当たり前の様に享受し、貪欲にむさぼる。その圧倒的な存在感。

だが、明日の夕方まで、娘は不在だ。空白がもたらすアンバランス。僕と妻、二人ぼっちだということに、いまさら気付いた。

その新鮮な欠落に少し動揺しながら、素直な言葉を彼女に投げてみる。こめた思いは、多くの称賛と感謝、そして、少なからぬ驚嘆。

「君が母親としてあんなに…献身的なタイプになるなんて、想像してなかったよ」


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