過去ログ - 兄「伝説の剣を引き抜きに来たら妹に先越された……」
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95:名無しNIPPER
2015/11/09(月) 20:51:41.75 ID:VcJUICA60

兄(すぐに戻る。遠ざかる妹の後ろ姿に呼びかけたとき、俺は必死に自分に言い聞かせていた。

 あいつは大丈夫、聖剣の勇者なんだから。一人でも戦える、負けるはずがない。勇者なのだから。

 馬鹿を言うな。あいつは確かに勇者かもしれない。

 だが、それ以前にあいつは……俺が守るべき大切な存在だったのに……)


父『わ、私はここまでのようだ……』

幼少の兄『オヤジ!! しっかりしてくれ、傷は浅いぞ!!』

父『兄……さ、最後に、お前に頼みがある。男としての、頼みだ……』

幼少の兄『最後だなんて言うな!』

父『私は、勇者でも戦士でもない。戦いの才能なんてこれっぽっちもない。

 それでも……家族を守ってきたことが、私の誇りだった……』

幼少の兄『オヤジは立派だよ!! 尊敬してる! だから――』

父『だが、母さんを守れず、子供を残して死のうとしている……。無念だ……。自分が情けない……』

幼少の兄『お、オヤジ……』

父『……だけど、仇を討とうなど、考えるんじゃない。死んだ私たちの為に生きるんじゃない。

 どんな形でもいい。幸せになってくれ……。

 それが父さんと母さんの、たった一つの……――』ガクッ

幼少の兄『……お、オヤジ? オヤジ!! オヤジぃぃぃぃぃぃぃっ!!』


兄「うわああああっ!!」

魔女「うおおっ! ……だ、大丈夫か!?」

兄「ま、魔女、か……おい、ここはどこだ!? 今何時……いや、何日だ!?」

魔女「落ち着け。ここは西の渓谷をさらに越えた場所にある城塞都市だ。結果的に基地を陥落させたおかげで、進軍することができた。

 ……あのあと、キサマはエルフ騎士が連れてきた増援と合流した直後に気を失った。四日前のことだ」

兄「四日だって!? おい、妹は!!」

魔女「…………」

兄「おい!」

魔女「落ち着いて聞け。もう一度エルフ騎士殿と基地へ突入したが、勇者殿を発見できなかった。

 状況を見れば、十中八九……敵の手に落ちた」

兄「……んだと」

兄(…………。やっぱり俺は、度し難い大馬鹿だ)


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