過去ログ - 藍子｢路地裏の喫茶店｣ -SS速報VIP

過去ログ - 藍子｢路地裏の喫茶店｣

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1: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:48:14.53 ID:mtLigDEH0

｢藍子、なにかやりたい仕事とかないか？｣

｢やりたいお仕事ですか？｣

　プロデューサーさんにそう訊かれたのは、デビューして一ヶ月になる頃だった。
　今日は学校帰りに軽くレッスンをした後、事務所に寄っていた。
　そんなに広くはない事務所だけど、なんとなく居心地がいいから暇なときに雑誌を読んだりしている。

｢人気が出てからじゃないとできない仕事も多いけど、逆に今じゃないとできない仕事もあるからな。どうしてもこれをしておきたいってことがあるのか訊いておこうと思って｣

｢そういうことでしたか。やりたいことかぁ……｣

　改めて考えてみると、けっこう難しい。
　だけど、言うだけならタダなんだから、なにも考えずにやりたいことを言っちゃおうかな。

｢例えば……みんなでお散歩したり、とか？｣

｢んー、参加者との区別が付けにくいか。となると、どこかを貸切にするかスタッフを増やすか……ちょっと難しいかな｣

　場所が広いといろいろと問題も出てくるみたい。
　やってることはお仕事だもんね。

｢えーと、じゃあ……カフェでファンのみなさんとお話するとかどうですか？　私がウェイトレスさんをしたり、ちょっとだけ歌ったりして｣

｢なるほどね……｣

　座席数も決まってるし、室内だからどうかな？

｢でも、これもお店に迷惑かけちゃうかも？　あとは……｣

｢いや、いけるかも。というか、いいなそれ。採用｣

｢え？｣

　企画が通っちゃった？
　……あんなに軽いノリで？

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2: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:49:07.12 ID:mtLigDEH0

｢あ、お久しぶりです店長……誰って、その反応は声と番号でわかってるでしょうに……｣

　プロデューサーさんはそのまま机の上に置いていた携帯を手に取ると、どこかへ電話をかけた。

3: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:49:54.03 ID:mtLigDEH0

　話が纏まったみたい。
　やりたいことがこんなにもすぐに実現して、ちょっと理解が追いつかないけど。

｢……研修？　不安ならウチの店ででもやろうかと……え？　そっちでやるんですか？　……いつでもいいって……｣

4: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:50:31.20 ID:mtLigDEH0

　週末、人の少ない朝の街をプロデューサーさんと歩く。
　今日はイベントをさせてもらうカフェでの事前研修の日だ。

｢こっちの道をまっすぐな。疲れたら言ってくれよ｣

5: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:51:09.39 ID:mtLigDEH0

｢到着。ここだ｣

｢へぇ……いいところですね｣

6: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:51:41.66 ID:mtLigDEH0

｢写真で見た通りのかわいらしいお嬢さんじゃないか。二日間だけだけど、よろしく頼むよ？｣

｢はい、こちらこそ｣

7: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:52:08.00 ID:mtLigDEH0

｢かなり似合ってると思うのだがね？｣

｢めっちゃかわいい。とりあえず何枚か写真撮っておこう｣

8: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:52:40.52 ID:mtLigDEH0

　マスターと志保さんに見守られての撮影の後、志保さんにウェイトレスの基本的なお仕事を教えてもらって。
　それが終わると、開店時間が近づいていた。

｢高森君。難しいことは言わないし、完璧にしろとも言わないよ。君が楽しんでくれたらきっとお客さんにも伝わると思う。できるかね？｣

9: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:53:11.83 ID:mtLigDEH0

｢いらっしゃいませ｣

　決して焦らず、急いでドアの方まで行く。
　ドアの前にいたのは、身なりのいいおじさんだった。

10: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:53:39.79 ID:mtLigDEH0

｢いい子が入ったね、マスター｣

｢二日だけだよ。気に入ったなら来週も来てくれると嬉しいのだがね？｣

11: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:54:05.56 ID:mtLigDEH0

｢さて。高森君、よろしく頼むよ｣

｢はいっ｣

12: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:54:46.80 ID:mtLigDEH0

｢気に入ったなら来週も必ずお越しください。ちなみにイベント参加は藍子の１ｓｔシングルとなっております｣

｢もう、プロデューサーさん！　そんな言い方しなくてもいいじゃないですか｣

13: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:55:16.59 ID:mtLigDEH0

｢疲れました……｣

　日が落ちて、柔らかいランプの明かりに照らされた店内で。
　私はテーブルに突っ伏して、伸びていた。

14: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2015/11/07(土) 22:57:32.05 ID:mtLigDEH0
今回はここまで。続きは今月中には。
マジアワで、カフェでファンと交流するのが夢って言ってたから仕事を取ってくる以外なかった。
あと、数日前にとてもいい藍子SSが投下されてたのでやる気が出ますね。

15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/07(土) 23:00:36.46 ID:HtvtkuYEO
乙

志保藍子とはなんという幸せな空間

16:名無しNIPPER[sage]
2015/11/08(日) 02:21:37.49 ID:RFjkwoac0
ほー、これはいいものだ！
カフェコンビすばら
おつ

17:名無しNIPPER[sage]
2015/11/08(日) 11:19:31.52 ID:D91PA1mP0
これは続きが楽しみ
作者さんが言ってる「とてもいい藍子ＳＳ」って『高森藍子「もういいかい」』のことかな？

18: ◆8dLnQgHb2qlg[saga]
2015/11/27(金) 20:50:55.19 ID:gJED0j+A0

　イベント当日の天気は晴れ。
　暖かく、春らしい朝だ。
　今日もまた、プロデューサーさんと一緒に朝の街を駅から歩いて来た。
　お店にはあの日と同じく、マスターと志保さんがいた。

19: ◆8dLnQgHb2qlg[saga]
2015/11/27(金) 20:51:25.71 ID:gJED0j+A0

｢よく似合ってると思いますよ？｣

｢……ありがとう｣

20: ◆8dLnQgHb2qlg[saga]
2015/11/27(金) 20:51:51.90 ID:gJED0j+A0

　扉を開けると、お客さんが店内に入ってきた。

｢今日はお越しいただきありがとうございますっ｣

21: ◆8dLnQgHb2qlg[saga]
2015/11/27(金) 20:52:19.10 ID:gJED0j+A0

｢すみません、注文決まりました｣

｢はーい｣

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