過去ログ - 「偽りだらけの魔王討伐、始めました」
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19:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:32:49.12 ID:kiKX5uP40
(勇者に振り向く。背後から物音(引き摺った音……土を蹴った?)――衝撃。首に食い込む腕。肉感のない、骨と皮の感触)

女の声「『勇者』? 『勇者』、『勇者』……私達を地獄に落とした、死神の名前! お前のせいで、私達は……!」

(身構える勇者と騎士。視界の端で従者Eが構えた。小さく右手を挙げて制する)

女=虜囚エルフ「お前のせいで何人が死んだと思っている! 私の家族は皆、人間に殺された! 里を焼かれ、森を失い、命も、尊厳も奪われて、――私達が何をしたっていうの!? ただ平和に暮らしていただけなのに!」

勇者「……そんなことをしても、何にもならない。君が恨んでいるのは僕なんだろう? なら、彼を離してあげてくれないか」

騎士「勇者様!?」

勇者「君たち異族を殺したのは、間違いなく『勇者』だ。君には復讐の権利がある。けれど、彼には関係がない。勇者は、僕なんだから」

虜囚エルフ「お前たち人間は悪魔だ! 魔王などよりよほどどす黒い、醜い、おぞましい生き物め!」

騎士「黙れ、異族。それ以上汚い口で勇者様を汚すな!」

虜囚エルフ「……汚い? 汚いだと、ふざけるな! お前たちが私の里で何をしたか忘れたのか!? その口で、私を、私たちを殺して、でも、女は殺さなかった。殺したのは男だけだった」

騎士「なにを……」

虜囚エルフ「人間なんて皆地獄に落ちてしまえばいいんだ! そうすれば、あんな事にはならなかったのに! 父が殺される眼の前で、何人もの人間に犯された母の、姉の気持ちがわかるか!?」

(騎士は凍りついたように動きを止めた。勇者も絶句)


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