過去ログ - 「偽りだらけの魔王討伐、始めました」
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名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:20:32.42 ID:kiKX5uP40
領主「ようこそ我が都市においでくださいました、勇者様」
中性的な声=勇者「はい、お久しぶりです、(…)殿。魔王討伐の神託に従い、この地にやって参りました。どうぞ、お力をお貸し下さい」
領主「もちろんでございます。さあさ、どうぞこちらに。長旅でお疲れでしょう、ひとまずごゆるりとお身体をお休めなさるといい。祝宴の準備も整っておりますゆえ」
勇者「はい。ありがとうございます」
(領主は何事かを臣下に言い付ける。騎士とも二言、三言言葉を交わす。領主が俺の姿を認めた)
領主「……噂は耳にしておりましたが、本当に貴殿が同行しておられるとは」
「神託に従い、非才の身ではありますが、私も力を尽くすつもりです。領主殿はこの国境地方を治める大領主であられるから、是非お力添えを頂きたいものだ」
領主「ええ、ええ。我ら王国臣民にとって、いやこの世界に生きる者にとって、魔王討滅は宿願でございます。微力ながら、我々にできることでしたら何でもお申し付けください」
(領主は胸に手を当てて一礼する。ちら、と神官に向けた目が数秒動かない)
領主「お噂はかねがね、女神のごとき美貌とはまさにこのことですな。神通力も歴代随一であるとか。いやはや、本当にお美しい」
勇者「はい、これまでの道中でも、彼女には何度も危ういところを救われました。……」
(割って入った勇者は神官を気にする素振りを見せる。勇者の顔色が変わる)
勇者「どうかした? 顔色が良くないよ」
神官「う……」
勇者「領主殿! 急で申し訳ありませんが、彼女の体調が良くない。少し休ませてあげたいのですが」
領主「なんと! それはいけない、すぐに拙宅までご案内いたします。おい、道を開けさせよ! 勇者様たちを邸宅までお連れする!」
勇者「大丈夫? 無理はしなくていいからね」
(勇者は神官に優しく声を掛ける。勇者は、神官が弱々しく首を振るのに何度か頷きを返して、馬車に乗せた)
(突き刺さる視線を感じて顔を向ける。騎士が馬車を睨んでいる)
(にわかに慌ただしくなった。群衆が不安げにざわつく)
「……ふん」
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