過去ログ - 「偽りだらけの魔王討伐、始めました」
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名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:21:38.29 ID:kiKX5uP40
――領主私邸=都市西端――
勇者「さあ、横になって。どこか痛いところはない? 欲しいものは? ああ、飲み物がいるかな、待ってて、すぐに用意させるから」
神官「え……ぅ……」
以下略
10
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名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:22:04.20 ID:kiKX5uP40
(騎士が腰の剣に触れる。勇者が何事か言おうとして、神官が起き上がるのに気付く)
勇者「大丈夫だよ、心配しなくてもいい。少し揉めているだけだから――」
(神官がこちらを見る。ただでさえ白い顔が蒼白だった)
以下略
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名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:22:38.38 ID:kiKX5uP40
(通りに添って歩く)
(角を曲がって路地に入る。入り組んだ道は進むほどにうらぶれていく。物乞いとすれ違いざま硬貨を渡す。物乞いはこちらを見ない。記憶している道を進む)
(この都市は領主のために設えられた庭だ。城門から領主宅まで、そして東端の港まで繋がる大通りは、王都のそれと見紛うほどよく整備されている。だが、一本道を逸れれば、この有様。この都市の縮図)
以下略
12
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:25:22.76 ID:kiKX5uP40
(侍従Eの先導で路地を進む。進路は東)
(侍従Eは一週間前から、この都市入りしていたらしい。今さら追い返すわけにもいかない。仕方なく、詳しい情報を聞く)
侍従E「近日中に、領主所有の例の超大型船が出航いたします。詳細な日程は不明ですが、明日にも出航できる状態です。おそらく『荷』を待っているものと」
以下略
13
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:26:01.02 ID:kiKX5uP40
(視界がひらける。空の青に対を成す青海を飲み込むような巨大な港。この国の海路の最大拠点。この都市の――領主の富の源)
(居並ぶ建物のうち、侍従Eの示した一つに入る。目当ての人間は現場に出ているらしかった。波止場に向かう)
(小舟を連ねた一角。そのうちの一艘で積み荷を運ぶ男――懇意の商会の主。自ら現場に出るのは、本人の気質によるものだという)
以下略
14
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:26:55.09 ID:kiKX5uP40
――領主居館――
(侍従Eとは港で別れ、居館に戻る。広い玄関に這入ると、男の一団と鉢合わせた)
男=上質な衣装=領主(?)「おや、いったい何処においででしたかな。神官様の具合はいかがかと、これよりお見舞い申し上げようと思っていたのですが」
以下略
15
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:27:23.03 ID:kiKX5uP40
(領主がこちらを見る。周囲の男たちが一気に緊張する。懐に手をやるもの、手を腰の後ろに隠すもの。合図に即応できる態勢に入っている)
(領主の落ち窪んだ眼が俺を観察している)
「今までは不運にも、こうして近しくお話する機会がございませんでしたが、領主殿と祖父は親しい間柄だったのですよね? 領主殿さえよろしければ、是非、祖父の存命中のお話をお聞かせ下さいませんか」
以下略
16
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:27:52.41 ID:kiKX5uP40
――領主居館・裏口――
騎士「待て、貴様、宴に出ないとはどういうことだ!」
「静かにしろ。俺達がこんな所にいることがバレたら面倒なことになる」
以下略
17
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:28:57.19 ID:kiKX5uP40
(外に出る。領主邸宅は城壁にほど近い。すぐに城壁に辿り着き、そのまま城壁を抜ける。行く手広がる森。その前に人影、こちらの姿を認めると一礼する)
外套=侍従E「準備は完了しています。が、森に潜む者たちが、こちらに気づきました」
「奴らの使う予定だった門を使ったのだから、当然だな。――やれ」
以下略
18
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:31:51.48 ID:kiKX5uP40
(一件落着。馬車に近づき、幌をめくる)
(夕日が当たる。鉄格子の中身があらわになる。饐えた匂いに顔をしかめる)
騎士「……金髪。長い耳、碧い瞳。そんな……」
以下略
19
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:32:49.12 ID:kiKX5uP40
(勇者に振り向く。背後から物音(引き摺った音……土を蹴った?)――衝撃。首に食い込む腕。肉感のない、骨と皮の感触)
女の声「『勇者』? 『勇者』、『勇者』……私達を地獄に落とした、死神の名前! お前のせいで、私達は……!」
(身構える勇者と騎士。視界の端で従者Eが構えた。小さく右手を挙げて制する)
以下略
20
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:41:26.56 ID:kiKX5uP40
虜囚エルフ「父を殺されたくなければ股を開けと――卑猥な、下劣な事を無理やり言わせて、少しでも抵抗すれば父を刺して! 気が済むまで弄んで、挙句父を殺した! 母を、姉を何処にやったんだ! 眼を塞いで、耳を塞いで逃げた、私を捕まえて、私も、私も――!」
騎士「黙れ! 黙れ、黙れ黙れ黙れ! それ以上喋るな! 私は……違う、私は、そんなことはされていない、誰にも、誰にも、そんなの、嘘だ、違う! 嘘だ! あああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ! 嘘だ、嘘だ、やめろ!」
勇者「(…)!? どうしたんだ!?」
以下略
21
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:42:53.46 ID:kiKX5uP40
(剣を取り落として、違う、違うと呟く騎士。今のうちに虜囚をなんとかしよう)
「命乞いだ。俺はここで死ぬわけにはいかんからな。おい、俺の命以外ならなんでもいいぞ。望むなら、そこのいけ好かない男の首でも何でもくれてやる」
(首に加わる力が弱まる。虜囚の衰弱がひどい。自棄を起こして自爆的な行為に出ないとも限らない。さっさと落ち着かせよう)
以下略
22
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:43:22.22 ID:kiKX5uP40
――――
――
【私は憂えている。百年前、私の祖先が魔王を打倒し、世界に安寧をもたらした。世界のあちこちで人々を苦しめていた闇を払い、光で満たした。勇者の末裔として、私は彼が誇らしい】
以下略
23
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:44:11.37 ID:kiKX5uP40
「よし。お前の演説はすべて筆写している。これで明日には王国全土に行き渡る」
(湧き上がる歓声を背に、男が壇上から降りてくる)
男=勇者「これで、本当に上手くいくのか? こんな、ただの言葉で」
以下略
24
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:45:02.30 ID:kiKX5uP40
勇者「……では、君はその異族たちを助けるために、こんなことをやってのけたんだね」
「なぜ俺がこいつらを助けてやらねばならん。何の得にもならんのに」
勇者「違うのかい? てっきり、君が義侠心に駆られて、異族を助けてあげようとしたのかと思ったのに」
以下略
25
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:45:50.46 ID:kiKX5uP40
(勇者は、走り寄ってきた召使いの女と小声で話しているようだった。目だけを後ろに向ける。女が勇者になにか手渡す。感極まった様子の女に、勇者が顔を近づけるのが見えた)
(騎士はじっと俯いている)
(神官は何も言わず、従いてくる。ふと、屋敷の侍従長を思い出した。屋敷に帰れば、侍従長はまた泣くだろうか)
以下略
26
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/11/08(日) 19:49:12.51 ID:kiKX5uP40
というところで今回はここまで
大体、1イベントでこのぐらいの長さにするつもり
また書き溜めたら投下します。イベントのリクエストとかあったら取り入れたいな―とも思います
以下略
27
:
名無しNIPPER
[sage]
2015/11/08(日) 20:03:47.97 ID:Vfr8DvT00
乙
前のやつ見てたけどあそこまで書き上げられるなら安価いらないよなぁ…とは思っていた。
楽しみにしています。
28
:
名無しNIPPER
[sage]
2015/11/08(日) 20:12:35.64 ID:ETzmmqBd0
初っ端からオリ設定だらけなのといちいちト書きが入るのが非常に邪魔で読みづらい
地の文禁止縛りでもしてるのかしらないけど、素直に段落下げて地の文として従者の内心を書いた方が100倍読みやすいと思う
29
:
名無しNIPPER
[sage]
2015/11/09(月) 02:09:30.48 ID:LWQBXCib0
>>27-28
どもです
……そんなに読みにくい? ト書き形式のほうがSSとしては合ってるかと思ったんだけど、そうでもないのかな
とりあえずト書きはできるだけ削るようにするので、それで様子見てみる
以下略
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