32:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/11(水) 00:06:00.54 ID:BRoeWTnho
……ちなつちゃんの発言に全身の力が抜け落ち……危うく湯呑みを倒しそうになった。
しかしちなつちゃんは私をからかっているわけではない。本当に何事かもわからず、状況を把握できないという表情をしていた。
拳に力を込めて身体を支え、ちなつちゃんの綺麗な目を見据えて語りかける。
結衣「京子だよ……歳納京子!」
ちなつ「としのー……え、苗字ですかそれ? いや私の知り合いにそんな人はいないですけど……」
結衣「っ……」
私の頭はとうに混乱状態であったが、ちなつちゃんのここまでの発言のおかげで冷静に現状を分析することができた。
なんといっても、今自分は夢の中にいるんだと……そう自覚できたことが一番の救いであった。
この世界に京子はいない。どうやら最初からいなかったことになっているようだ。
だからごらく部が存在していない。茶道部は人数不足で廃部になっているようだが、茶室は誰にも使われずに残っているらしい。ごらく部を作らなかったことにより、ちなつちゃんと私たちが出会うことはなく……ゆえにちなつちゃんは私のことも京子のことも知らない。
ここは……ごらく部が作られなかった世界。京子のいないこの世界ではちなつちゃんは茶道部再興のために尽力しているらしい。ちなつちゃん以外にもそういったメンバーがいるのかは定かではないが、とりあえずこの世界ではそういうことになっているらしかった。
ちなつ「えっとぉ……船見さんは茶道部に入部希望ではないんですか?」
結衣「……ごめんね。この茶室は好きなんだけど……茶道部としてここにいるのは、心苦しいんだ」
ちなつ「ど、どーゆーことですか……?」
結衣「ちなつちゃん……そっか……京子がいなかったら、私はちなつちゃんとも友達になれなかったんだね……///」
ちなつ「わわわっ、船見先輩!? なんで泣いて……!」
結衣「……っう、ん……ごめん。こっちの話なんだ」
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