過去ログ - 【デレマス】オン・ザ・ストリート・コーナー【鎧武】
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◆oZuontUvSM
[sage saga]
2015/11/12(木) 00:07:37.59 ID:86cUeG390
伊吹のやんわりとした否定に、沙紀は少しだけ目を大きく見開く。
自身の下地からすれば当然の答えで、他のアイドルにない自分だけの長所としてもっとも妥当だと考えていた。
それだけに、それ以外の理由を自然と思考から外していた。
わずかだけ間が空いて、伊吹は答えを改めた。
「ストリートのセンス。路上で活動する時のあの感覚。沙紀ならわかるでしょ?」
(…なるほど、ね)
見開いた目はそのまま。
だが、沙紀の頭の中では合点がいっていた。
吉岡沙紀は、アイドルになる前はグラフィティアートを生きがいにしていたという変わり種だ。
それも作業場に籠るだけではなく、許可を得て住宅のシャッターなどにグラフィティを描くことが少なくなかった。
そのような公共の場所に踏み込んだ時、長時間の作業は環境が許さない。
ならばこそ、いざ事に当たればそれが完全であろうとなかろうと、確実に形にする必要に迫られる。
そこで問われるのは事前の計画や特訓以上に、イレギュラーを常に把握し対処し続ける即応力だった。
整った舞台やパターンだけで活動していては、これを日常的に鍛えるのは無理がある。
それに、必ずしも周囲の人目が好意的とは限らなかった。
一度だけ、路上で衝動的にペンキを持ち出した時に感じた、刺すような視線。
その行為自体は若さと持ち前のアーティスト気質ゆえにやりかけた過ちではあるが、
たとえ権利関係がクリーンな状況になっても、少なからず沙紀は同じ痛みを感じていた。
これも競技アスリートには無縁の経験だろう。
公共であるが故に、常にアウェイかつ容赦のない場所に立つ中で得られる感覚。
これがストリートのセンスであるなら、確かに持ち合わせている。
伊吹の思っているものと同じかはともかく、他ではない自分が選ばれる理由には十分だった。
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