781: ◆8F4j1XSZNk[saga]
2016/07/03(日) 21:01:05.49 ID:iydpTm480
フードの侍「(そんな自分と似ているんだと思う)」
お祓い師「こうもあっさりと旅立とうとしているのにか?」
フードの侍「(ばかいえ、半年は悩んだ末の結論だ)」
782: ◆8F4j1XSZNk[saga]
2016/07/03(日) 21:04:49.79 ID:iydpTm480
お祓い師「そんなことが……」
フードの侍「(お前だって、禍々しい妖刀を携えた化け猫に遭遇すれば、同じようにするのではないか?)」
お祓い師「それは……」
783: ◆8F4j1XSZNk[saga]
2016/07/03(日) 21:08:27.74 ID:iydpTm480
お祓い師「……ま、待て。身売りだと? お前が?」
フードの侍「(……ふっ、結局お前は気づかずじまいか)」
お祓い師「なに……?」
784: ◆8F4j1XSZNk[saga]
2016/07/03(日) 21:10:28.19 ID:iydpTm480
フードの侍「昔は協会の会員としてじゃなくて、無所属のお祓い師として活動していたから、そうなるとこの外見だとどうしても仕事に支障をきたしてね」
フードの侍「協会の所属と違って身分も実力をはっきりとしないから、女ってだけで仕事の入りが悪くなっちゃうんだ」
フードの侍「ほら、この職って結構体力勝負なところがあるじゃない。私なんてただでさえ小柄だから尚更、ね」
785: ◆8F4j1XSZNk[saga]
2016/07/03(日) 21:12:44.46 ID:iydpTm480
フードの侍「なんて言ったって、“退魔”師協会の受付を人外がやっているんだからさ。笑っちゃうよね」
お祓い師「……確かにな」
フードの侍「ここに来た時私は思ったよ」
786: ◆8F4j1XSZNk[saga]
2016/07/03(日) 21:20:06.43 ID:iydpTm480
フードの侍「法律という、絶対的な国の決まりが出来たいま、いかなる場合も人に対する私刑は認められていない」
フードの侍「人を裁くには然るべき国の機関を通してからではないといけない。武器を持った凶悪犯が暴れているとか、そういう特別な場合を除いてね」
フードの侍「まあそんな場合でも、基本的には国に治安維持を任された組織が手を下さないといけない」
787: ◆8F4j1XSZNk[saga]
2016/07/03(日) 21:22:44.53 ID:iydpTm480
フードの侍「そんな人のための法に従って、それでいて幸せそうにしているこの町の人外のみんなを初めて見た時は、そりゃ歪に見えたさ」
フードの侍「でもここに住み始めて分かったよ。ああ、例え歪でも、ここは幸せだなって」
お祓い師「…………」
788: ◆8F4j1XSZNk[saga]
2016/07/03(日) 21:23:57.79 ID:iydpTm480
フードの侍「だからこそ私は顔と声を隠し続けたんだろうね。町のみんなは私の正体を知っているけれども、そういうのとは関係なくね」
フードの侍「生まれながらの人外じゃない、っていうのも理由なのかもしれないね」
フードの侍「いまの自分の運命を甘んじてい受け入れることができないんじゃないかな」
789: ◆8F4j1XSZNk[saga]
2016/07/03(日) 21:25:02.66 ID:iydpTm480
フードの侍「いま思い返せば、ここの他にもこういった場所はたくさんあったかもしれない……」
フードの侍「でも、ここが私にとっての初めてだから……。だから私はここを離れるのが名残惜しいんだと思う」
フードの侍「……あなた達とは違う私たちは、同じ目線に見られる事がとっても幸せなんだよ」
790: ◆8F4j1XSZNk[saga]
2016/07/03(日) 21:26:22.42 ID:iydpTm480
フードの侍「……もう一度私がこの町を去ることを名残惜しいと言った理由を考えてみて」
フードの侍「彼女もきっと……」
お祓い師「…………」
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