過去ログ - 屋上に昇って
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166:名無しNIPPER[saga]
2015/11/25(水) 22:35:57.88 ID:Xdnzlkp4o

◇[Wounded Deer]


 嵯峨野先輩が文芸部の部室をふたたび訪ねてきたとき、部室にいたのは俺とるーだけだった。

 高森とゴローは図書室で調べ物、部長はコンピュータルームで原稿の雛形作り。
 佐伯はたぶん、屋上。

「こんにちは」と嵯峨野先輩は言った。

 まさか新入部員のるーに応対させるわけにもいかず、「どうも」と返事をしたのは俺だった。
  
 いったい何の用事だろう、と思っていたら、

「あの子はいないの?」

 と先輩は部室を見回しながら訊ねてきた。

「はあ。部長なら……」

「あ、いや。由良さんじゃなくて」

「はい?」

「えっと。ぶつかってきた子」

「……高森ですか?」

「あ、うん。そうそう」

 嵯峨野先輩は気まずそうに頬を掻いた。




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