297:名無しNIPPER[saga]
2015/12/12(土) 12:56:13.55 ID:yM3Y2q1bo
◇
佐伯と高森は帰ったのだろうか。それとも、どこか別の場所にいるのだろうか。
ひとまず、どうでもいいか、と思う。
俺は階段の踊り場で一度立ち止まって、携帯を取り出して、「ゲシュタルトの祈り」について調べてみた。
それを読んで飲み込んだあと、少しだけ考えて、携帯をしまった。
「入部してけっこう経ちますけど、いまだにちょっと、部の雰囲気、つかめないです」
るーは困ったふうに笑いながらそう言う。「だいたいあんな感じだよ」と俺は答える。
「俺もよくわかってない」
「タクミくんも、わからない人筆頭なんですけどね」
「俺なんかいちばん分かりやすいよ」
「それはたぶん、タクミくん自身のことだから、そう思うんだと思いますよ」
「……まあ、そうかもしれない」
るーが言ったような認識は、文章においても大切だ。
自分で書いたものの仕掛けや構造は、自分では分かる。
けれど、読んだ人間が、他の雑多な文言や意味ありげな言葉に惑わされず、"仕掛けや構造"だけを見つけることは難しい。
兼ね合いってものがある。
そういう認識を最初から持っているだけ、るーは文章……というより、伝達、表現の才能がある。
あるいは、俺が苦手としているからそう思うだけで、誰でもみんなそんなことは知っているのかもしれない。
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