33:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:33:18.98 ID:0oXNO4iLo
「……環境省に怒られますよ」
「だいじょうぶ。ちゃんと使えば、無駄遣いじゃないもんね」
「……あのー」
「好きにしてって、言ってたじゃない?」
部長は完成したポスターをぺらぺら揺らしながら立ち上がった。
俺はうしろから静かに忍び寄り、部長の手から紙を奪い取ろうとする。
「おっと」という声と同時、彼女は体をひらりと翻し、後ろ手にポスターを隠す。
「やりますね、部長……」
「こう見えて、わたし、G級ハンターだから」
「……絶対関係ないですよね、それ」
意外な言葉に戸惑っているうちに、プリンターが次のポスターを吐き出しはじめていた。
とっさに伸びた俺の手より先に、部長がそれを確保する。
「『給水塔の鴉が、僕に何かを伝えようとしていた。――文芸部、部員募集中。』」
勧誘ポスターだということをすっかり忘れて、それらしいだけの言葉を並べ始めたのが敗因だ。
「捨ててきます」
「環境省に怒られますですよ?」
部長はわざとらしい敬語でそう言ってにっこり笑った。
ほんとに、いい性格してる。
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