過去ログ - 屋上に昇って
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39:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:36:12.68 ID:0oXNO4iLo

「これ、もらっちゃだめですか?」

「……え?」

「ポスター」

 大真面目な顔で、彼女は自分の手元に視線を落とした。

「まだ、部活決めてなかったんです。ちょっとだけ、興味がわいたから」

 いや、部室の場所だけ教えるから、ポスターは返してくれないか。
 と、そう言いたかったけど、そんな空気じゃなかった。

「……ああ、いいよ」と、俺は仕方なく頷く。
 
「よくできてますね、これ」

 彼女の視線がポスターの紙面に落ちるのを見て、心臓がドクンと震える。

 俺は気が気じゃなかった。

「興味があったら、部室まで来てよ」と俺は言った。

「放課後なら、いつでも誰かしらいるからさ」
 
 じゃあ、と言って、俺は背を向けた。とにかくいますぐこの場から逃げ出したかった。

「ありがとうございます」

 と、後ろから声が掛けられる。さっきより緊張がとけた感じの、軽やかな声。

 俺は返事ができなかった。
 



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