4:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:15:00.43 ID:0oXNO4iLo
  
  それから、覗きにも飽きたんだろう、体を屋根の内側にしまいこんでから、窓をピシャリと閉めた。 
  ちょっとアテられたみたいな疲れた声音で、彼女は呟く。 
  
 「いいよねえ、新入生には未来があってさ」 
  
 「俺らにだってあるでしょうよ」 
  
  俺の言葉にすぐには返事をせずに、彼女は窓辺を離れた。 
  
  ちんまい体で跳ねるように歩き、定位置のパイプ椅子まで戻ると、 
  くるっと翻った勢いのまま体を落として座る。 
  
  彼女のそういう動作はなんとなくおかしくて、見ていて飽きない。 
  
  去年、本人にそんなことを直接言ってみたら、 
  「見物料払え! 一回百円だぞ!」と脅されたものだった。 
  
  よおしと思った当時の俺は、財布から取り出した千円を彼女に手渡して、 
 「じゃあやって見せて。最初のは引いて、残り九回ね」と焚き付けてみたりした。 
  
  彼女は困ったような怒ったような顔になって、 
  しばらく唇を物言いたげに動かしていたかと思うと、 
  最後には「うがー!」とバカみたいに吠えて、俺に野口を突き返してきた。 
  
  
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