過去ログ - 屋上に昇って
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43:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:39:31.61 ID:0oXNO4iLo



 部活を終えてマンションに帰ると、静奈姉はもう帰ってきていたみたいだった。
 ダイニングのソファに寝転がって、クッションを抱えたままテレビを眺めている。

「ただいま」と声をかけると、「おかえりなさーい」と声だけは元気に帰ってきた。

「遅かったね」と静奈姉は言った。

「いつもどおりだよ」と答えると、彼女はちらりと掛け時計の針を見つめたあと、小さくうなずく。

「うん。たしかに。そうかもしれない」

 地元から遠くの高校に進学すると決めたとき、俺は一人暮らしをしようと思っていた。
 というと因果関係が逆で、実際は一人暮らしがしたかったから遠くの高校に進学しようとしたんだけど。

 当然、両親からは猛反対を食らって、何回も説得されたけど、最終的には折れてくれた。
 折れたというより、諦めたって感じだったけど。

 それでもいきなり一人暮らしなんてさせるわけにはいかないから、せめて親戚の家に下宿という形で、と言われたが、
 俺はこれも拒否した。自分でもワガママ言い放題、困った子供だとは思う。

 べつに自立心が旺盛だったわけじゃないし、なんでも自分ひとりでできるとたかを括っていたわけでもない。
 それどころじゃなかっただけだ。




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