45:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:40:29.11 ID:0oXNO4iLo
「……ごはん、つくろっか。お腹すいたでしょ」
そう言って笑った静奈姉は、ソファから起き上がった。
「手伝う」
「いいよ。疲れてるでしょ」
「運動部でもあるまいし、べつにたいして疲れてもないよ。静奈姉こそ、バイトだったんでしょ?」
「いーの。タクミくんにご飯つくらせたりしたら、お父さんたちに何言われるかわかんないもん」
「世話になってるのは俺だし」
「……このやりとり、何度目だっけ?」
「忘れた」
「変わんないよね、お互い」
彼女はくすくす笑ってからヘアゴムで長い髪を後ろにまとめて、ビリジアンのエプロンをつけた。
かたちから入るタイプなんだ、って、ここに来てすぐの頃に言っていた。
変わらないと彼女はいうけど、昔の静奈姉はもっとはしゃいだり、感情をあらわにすることが多かったような気がする。
もちろん、歳をとって落ち着いてきた、といえばそうなんだろうけど。
そういう些細な変化が、この街にいなかった俺には少し寂しかったりする。
時間の流れを突きつけられるようで。
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