72:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:19:45.59 ID:ZQjZY+y8o
恋愛映画でようやく結ばれた男女は、三ヶ月後には価値観の違いで別れているかもしれない。
青春小説で固い絆で結ばれた友人たちは、やがては離れ離れになるだろう。
さまざまな思索の末にささやかな幸せを実感できた中年男性は、日々の忙しなさに負けて、また元通り憂鬱な生活を送るのかも。
仲の良かった友達が自分のことを忘れるかもしれないし、大好きだった人たちが、喧嘩別れをしているかもしれない。
物語に続きがあるとすれば、それは幸せなだけではないかもしれない。
好き合っていた男女だって、うんざりしてすぐに別れてしまったのかも。
「タクミくんは、知りたいの?」
「それを迷っていたんです」
「……どっちにしても、知らない方が幸せなことってあるよね」
「……」
知らない方が幸せだったこと。知ってしまったら、元には戻れないこと。
「もし、不幸な結末に耐え切れないなら、どうすればいいか分かる?」
部長は静かにそう訊ねてきた。俺は首を横に振った。
「ページをめくるのをやめればいいんだよ。幸せなページで、続きを読むのをやめてしまえばいい」
だからそれは、覚悟の問題なんだと部長は言った。
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