74:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:22:16.04 ID:ZQjZY+y8o
さっきとおんなじように部長が「どうぞ」と言うと、失礼します、と声が聞こえた。
女の子の声。聞き覚えのある声。
俺は少しだけ緊張した。
「文芸部の部室はこちらですか?」
みんながみんな、きょとんとした。
部長も、ゴローも、高森も。
俺だけが少しだけ違った。
先週、校舎裏で見た顔。見覚えのあった顔。ポスターを拾った少女。
彼女は俺の顔を見つけて、ほっとしたように息をついた。
「えっと、文芸部に興味があって、見学させていただきたいんですけど……大丈夫ですか?」
「……入部希望者?」
「あ、はい」
部長の質問にうなずくと、彼女はにっこり笑ってぺこりとお辞儀をした。
「一年の藤宮ちはるです。よろしくお願いします」
土曜の昼にゴローとした賭けのことを、俺は思い出した。
なんとなく、いろんなことが怖くなる。
それでも、藤宮ちはるは、うかがうように俺を見て、
それからもう一度にっこり笑った。
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