820:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:14:23.19 ID:In4DJ8ILo
◇
触れたこともないベースにちょっと触る気になったのは、たぶんゴローの言葉のおかげなんだと思う。
よだかのこと、嘉山のこと、死んでしまった猫のこと。
“それはもういいのだ”と、俺は言いたくなかった。
“そんなことよりも”とか、“考えても仕方ないから”とか、思いたくなかった。
ゴローも、よだかも、まるで見えてるみたいに、簡単そうに俺の心のありようを言い当てる。
それが少し恥ずかしい。
でも、そんなことこそ、それこそ、仕方ないことだ。
るーの家は以前みた通りの大きな建物だった。
「どうぞ」と通されてリビングらしき部屋に入ると、すず姉が麦茶を飲んでいた。
「来たね」
ソファにもたれて足を組んだまま、グラスの中の氷をくるくる揺らしながら、すず姉は麦茶を飲んでいた。
「バンドやるんだって?」
「……どうも」
とりあえず頭をさげると、すず姉はちょっとさびしそうに微笑んだ。
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